2020年9月10日 / 最終更新日 : 2020年9月9日 レペ 国内小説 【本の感想】新章文子『危険な関係』 文学指向の強いミステリです。この手のミステリにありがちな強引さは見られないものの、反面、人物描写に力点を置いているゆえに事件の発生そのもののテンポが遅く感じます。しかしながら、些細な瑕疵は気にはならないほど小説としての完成度は高いのです。
2020年9月9日 / 最終更新日 : 2020年9月9日 レペ 国内小説 【本の感想】陳舜臣『枯草の根』 江戸川乱歩賞 選考委員たちが絶賛した著者のデビュー作。探偵 陶展文シリーズ第1弾です。当時の日本で暮らす華僑の生活や、習俗が巧に作品世界に取り込まれていてます。被害者の性癖をもとにアリバイを崩していく陶展文の観察眼が見所です!
2020年9月7日 / 最終更新日 : 2020年9月3日 レペ 国内小説 【本の感想】島田雅彦『僕は模造人間』 主人公 亜久間一人の精神的な彷徨を縷々つづった青春小説です。とは言うものの、ありがちな苦悩、懊悩が吐き出されるのではなくて、独特の世界観が開陳されていきます。人生のもやもやをあらためて感じさせてくれる作品です
2020年9月6日 / 最終更新日 : 2020年9月3日 レペ 国内小説 【本の感想】浦賀和宏『地球平面委員会 』 謎のサークルに勧誘された男子大学生が次々と不可解な事件に巻き込まれていくという物語です。主人公はエラリー・クイーンの孫という設定で、地球平面委員会の正体を明かす鍵なのですが、ニヤリとするか落胆するかわかれそう。
2020年9月5日 / 最終更新日 : 2020年10月8日 レペ 国内小説 【本の感想】樋口有介『ぼくと、ぼくらの夏』 高校生探偵たちのひと夏の青春ミステリです。ミステリとしては、ありふれたストーリーになるでしょうか。ただ、あだち充的な青春小説としての輝きはあると思います。好き嫌いはどこに重点を置くかで決まりますか。
2020年9月3日 / 最終更新日 : 2020年9月2日 レペ 国内小説 【本の感想】吉田修一『7月24日通り』 夢想女子の恋愛模様を描いた作品です。自身の住んでいる街を、未だ見ぬリスボンと重ね合わせ夢想するのが好きなOL小百合。同窓会で憧れの存在聡と再会し、アプローチを受けます。その頃、小百合には出会いがあって・・・。ラストの小百合の決断に不満です。
2020年8月29日 / 最終更新日 : 2020年9月9日 レペ 国内小説 【本の感想】藤沢周『ブエノスアイレス午前零時』 雪深い農村の温泉旅館を舞台に主人公の従業員とそこを訪れた盲目の老女のささやかな交流を描いた作品です。主人公の抱く閉塞感が、痴呆の進んだ老女の夢幻の世界に重なるダンスシーンは、哀しさと美しさを感じます。
2020年8月27日 / 最終更新日 : 2020年9月9日 レペ 国内小説 【本の感想】吉田修一『東京湾景』 東京湾を挟んだ品川埠頭とお台場で展開されるラブストーリーです。携帯サイトで知り合ったワークスタイルもライフスタイルも違う二人。恋しくて愛おしくてといった胸焦がれるほどの思いを感じない、どこか乾いた部分がリアルです。
2020年8月25日 / 最終更新日 : 2020年8月25日 レペ 国内小説 【本の感想】水上勉『海の牙』 水俣病をテーマにした水上勉氏の社会派ミステリーです。著者自身の丹念な取材の成果が遺憾なく発揮された、臨場感あふれる作品になっています。当時の企業や地方公共団体の姿勢に対する著者の怒りを強く印象づけられるでしょう。
2020年8月21日 / 最終更新日 : 2020年8月20日 レペ 国内小説 【本の感想】阿部和重『Deluxe Edition でらっくすえでぃしょん』 突然始まり、突然終わる、ストーリーを語り難い短編集です。初期の頃よりは観念的な分かり難さはなくなっいて、収録されている作品の筋道は明快です。はっとするような残酷さを孕んでいるところに惹かれました。