2020年8月25日 / 最終更新日 : 2020年8月25日 レペ 国内小説 【本の感想】水上勉『海の牙』 水俣病をテーマにした水上勉氏の社会派ミステリーです。著者自身の丹念な取材の成果が遺憾なく発揮された、臨場感あふれる作品になっています。当時の企業や地方公共団体の姿勢に対する著者の怒りを強く印象づけられるでしょう。
2020年8月1日 / 最終更新日 : 2020年7月31日 レペ 国内小説 【本の感想】薬丸岳『Aではない君と』 殺人を犯した少年の父親が、苦悩と後悔と迷いの日々を送る姿を描いた作品です。著者の十八番(!)のテーマで、相変わらずのどよ~んと重い作品となっています。自分も息子を持つ父親として、主人公に自身を重ね合わせてしまい、さらにどよ〜んとしてしまいました。
2020年7月31日 / 最終更新日 : 2020年8月11日 レペ 国内小説 【本の感想】丸山正樹『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』 手話通訳士となった元警察事務方が主役のミステリ作品です。本作品を読んで、「ろう者」に対する「聴者」、「コーダ」などの用語の意味や、聴覚にハンディキャップを持っている方々の文化的な側面への理解が、非常に少ないことを認識しました。ミステリとしては、詰め込みすぎの感は否めないものの、混乱することなく読み進められる良書です。
2020年7月7日 / 最終更新日 : 2020年9月9日 レペ 国内小説 【本の感想】薬丸岳『友罪』 少年の頃に猟奇殺人を犯した過去を持つ、青年の物語です。いわゆる少年Aのその後を描いた作品で、彼が友と信じた同い年の青年との関係性が主軸です。本作品は、著者がよく取り上げる少年犯罪や加害者の心の内をテーマとしています。
2020年3月18日 / 最終更新日 : 2021年1月13日 レペ 国内小説 【本の感想】薬丸岳『刑事の約束』 『刑事のまなざし』、『その鏡は嘘をつく』に続く、刑事 夏目信人シリーズの第三弾。これまでの登場人物たちが顔を出す、ファンには嬉しい短編集です。『刑事のまなざし』の問題作「オムライス」の後日談であるタイトル作「刑事の約束」は、さらに重い内容となっています。
2020年2月20日 / 最終更新日 : 2020年12月17日 レペ 国内小説 【本の感想】高嶋哲夫『イントゥルーダー』 ミステリというより人間ドラマとしてよく出来た作品です。昔の恋人から突然告げられた息子の存在。そしてその死。主人公は戸惑いつつも我が子の犯罪容疑を晴らすために奮闘します。原発問題に関して未来を予見したような結末には驚きです。
2019年12月29日 / 最終更新日 : 2021年1月7日 レペ 国内小説 【本の感想】横山秀夫『看守眼』 ノンシリーズの短編集です。D県警もF県警も登場しませんが、警察や役所の中のあまり表には現れない人々を主役に据えています。じんわりと胸に迫るほろ苦い後味が、著者ならではです。暗い物語ですが、魅せられますね。
2019年12月3日 / 最終更新日 : 2021年5月17日 レペ 国内小説 【本の感想】薬丸岳『その鏡は嘘をつく』 元法務技官の刑事 夏目信人が主役の長編ミステリです。著者の作品は、答えの出ないテーマを扱っているものが強いインパクトを残します。本作品は、趣が異なりますが、ひとの心の襞に分け入るような展開は、いつもの薬丸節と言えるでしょう。
2019年12月1日 / 最終更新日 : 2020年8月31日 レペ 国内小説 【本の感想】薬丸岳『刑事のまなざし』 通り魔に娘を植物状態にされた元法務技官の刑事 夏目信人が主役のミステリ短編集です。収録作品全7編に通底しているのは、決して癒えることのない心の痛み。夏目は、愛のために人を殺し、愛の裏返しで人を殺してしまう人々の心の奥底を炙り出していきます。
2019年10月31日 / 最終更新日 : 2021年1月7日 レペ 国内小説 【本の感想】横山秀夫『真相』 お家芸(?)の警察小説ではありません。しかしながら、焦燥感を伴った苦悩という”らしさ”は健在です。むしろ、警察という一般には馴染みのない世界の枠組みをとっぱらったがゆえに、真に迫っているようです。