2020年9月25日 / 最終更新日 : 2020年9月23日 レペ 国内小説 【本の感想】小山田浩子『穴』 日常に入り混じる些細な不可思議を描いた作品です。マジック・リアリズム的(?)、方向(?)でしょうか。本作品は、日常と非日常が緩やかなに融合しており、主人公と一緒に夢か現かの感覚を楽しむべきです。
2020年8月29日 / 最終更新日 : 2020年9月9日 レペ 国内小説 【本の感想】藤沢周『ブエノスアイレス午前零時』 雪深い農村の温泉旅館を舞台に主人公の従業員とそこを訪れた盲目の老女のささやかな交流を描いた作品です。主人公の抱く閉塞感が、痴呆の進んだ老女の夢幻の世界に重なるダンスシーンは、哀しさと美しさを感じます。
2020年3月26日 / 最終更新日 : 2020年9月24日 レペ 国内小説 【本の感想】玄侑宗久『中陰の花』 生と死の中間の領域、つまり中陰をテーマにした物語です。観念論的な世界観を受け入れきれない僧侶と、彼の対極にある妻とのひと時が描かれています。読後は、ふわりと優しさに包まれたような静謐さに、心地良さすら感じるでしょう。
2020年2月19日 / 最終更新日 : 2020年10月19日 レペ 国内小説 【本の感想】青島幸男『人間万事塞翁が丙午』 戦時中の仕出し弁当屋を舞台とした人情ものです。21歳で嫁に入った主人公ハナの清く、正しく、美しく、逞しい人生がつづられていきます。物の無い時代であっても心はとても豊かですね。ちょっぴり元気がもらえる作品です。
2019年12月23日 / 最終更新日 : 2020年10月5日 レペ 国内小説 【本の感想】モブ・ノリオ『介護入門』 マリファナ片手に、祖母の自宅介護に熱意を傾ける<俺>の日々がつづられた作品です。ポップで攻撃的な文体で、一見おちゃらけてるのやら、怒ってるのやら、ただ毒づいているだけなのやら判然としませんが、自分自身への鬱屈したもどかしさを感じることができます。
2019年12月16日 / 最終更新日 : 2020年10月5日 レペ 国内小説 【本の感想】絲山秋子『沖で待つ』 入社からの同期 男女二人の一風変わった友情物語です。男性の方の”太っちゃん”は、あの世の人。久々に再会した幽霊”太っちゃん”との想い出がほのぼのとつづられます。感傷を口にせず、温かい気持ちにさせる話の運び方が素晴らしいですね。
2019年12月13日 / 最終更新日 : 2020年9月29日 レペ 国内小説 【本の感想】辺見庸『自動起床装置』 通信社の宿直者を時間通りに起床させる「起こし屋」と眠りにまつわる物語です。読み進めていくと、「起こし屋」の語る、眠り哲学というべきものに魅了されてしまいます。とくに、眠りの芯に神様が宿るという考え方は印象的です。
2019年12月6日 / 最終更新日 : 2020年10月7日 レペ 国内小説 【本の感想】楊逸『時が滲む朝』 天安門の悲劇の頃の中国。貧しい農村地帯からエリートへの道を進むべく大学に進学した青年たちの熱狂、そしてその後が描かれています。大人になるということの現実が、寂しさを伴って心に響いてくる一冊です。
2019年11月17日 / 最終更新日 : 2020年9月15日 レペ 国内小説 【本の感想】田辺聖子『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニィ)』 恋愛体質の妙齢の女性の物語です。半世紀も前の作品で、流石に言い回しやシチュエーションは古色蒼然としていますが、男女関係の根っこの部分や恋愛至上主義の女性の心の動きは、些かも変化していないことが分かります。
2019年10月18日 / 最終更新日 : 2020年11月2日 レペ 国内小説 【本の感想】花村萬月『ゲルマニウムの夜』 殺人を犯し、少年の頃暮らしていた修道院兼教護院に身を隠す青年 朧が主役の連作短編集です。本作品集に通底するのは、欺瞞に対する沸々とした憤懣でしょうか。