2020年12月15日 / 最終更新日 : 2020年12月14日 レペ 国内小説 【本の感想】野坂昭如『火垂るの墓』 戦時中を舞台に少年と幼い妹の死を描いた、あまりに有名なアニメ作品の原作。文字として読むと悲しいより辛いという印象です。クセの強い文章で、慣れるまで苦戦を強いられましたが、読み進めるうちに作品のトーンと絶妙にマッチしていることが分かります。
2020年12月12日 / 最終更新日 : 2020年12月21日 レペ 国内小説 【本の感想】中島京子『小さいおうち』 戦前から戦中にかけて女中を勤めた老女の回顧録です。赤い三角屋根の小さな洋館で、主人公が秘かに憧れを抱く奥様を中心とした日々がつづられていきます。奥様が身を焦がした密やかな恋愛に、主人公は心穏やかではありません。
2020年9月26日 / 最終更新日 : 2020年11月25日 レペ 国内小説 【本の感想】常磐新平『遠いアメリカ』 モラトリアム男の日々を描いた作品です。大学院を中退して、なお親の脛を齧り続ける翻訳家志望が主役。1950年代が舞台ですが、いつの時代もこういう情けない中途半端は輩はいたのです。時代の雰囲気だけは、興味を惹かれました。
2020年9月20日 / 最終更新日 : 2020年9月29日 レペ 国内小説 【本の感想】佐藤愛子『戦いすんで日が暮れて』 強い女性としょうもないヘナチョコ男性が織りなす短編集です。著者の経験に基づくようですが、濡れ落ち葉な旦那の姿が悲哀を誘います。ある意味バランスが取れていると言えるでしょうか。
2020年9月12日 / 最終更新日 : 2020年9月10日 レペ 国内小説 【本の感想】つかこうへい『蒲田行進曲』 京都の映画撮影所を舞台にし、役者たちの人情噺が活き活きと描かれた作品です。クライマックスは、命を賭した階段落ちのシーン。あの名ゼリフが待って・・・あれ、いない・・・。そうか、映画は、原作の語られなかったシーンとその後が描かれていたわけね。納得。
2020年7月21日 / 最終更新日 : 2020年9月25日 レペ 国内小説 【本の感想】葉室麟『蜩ノ記』 無実の罪で腹を切らればならぬ武士と、その周辺の者たちの三年間を描いた時代小説です。本作品の設定から、主人公の死すべき運命が変えられないというのは、想像に難くありません。とすると、全編を通して、漢をどう見せてくれるのか、が注目すべきポイントです。
2020年7月12日 / 最終更新日 : 2020年10月2日 レペ 国内小説 【本の感想】中村彰彦『二つの山河』 大正時代の板東ドイツ人俘虜収容所所長 松江豊寿の半生を描いた作品です。松江豊寿は、知名度は高くはありませんが(自分が知らないだけ?)、本作品を読むと、この時代にあってヒューマニズムの何たるかを理解知っていた人物のようです。
2020年6月12日 / 最終更新日 : 2020年12月14日 レペ 国内小説 【本の感想】松井今朝子『吉原手引草』 吉原の名高い花魁 葛城の失踪の謎を追うインタビュー形式の時代小説です。16人の弁(インタビュー)は、自分語り、世間話も交えながらで、吉原という非日常に息づく人々の、渦巻く欲望や悲哀、愛憎を浮かび上がらせます。
2020年4月6日 / 最終更新日 : 2021年1月27日 レペ 国内小説 【本の感想】北原亞以子『恋忘れ草』 江戸時代(天保三年頃)の、職業婦人、現代で言うところのキャリアウーマンが主役の短編集です。本作品集は、仕事に恋に生きる女性たちの逞しさが、活き活きと描かれています。読了時には、明日への活力を与えてくれる、爽やかな余韻の残してくれます。
2020年1月1日 / 最終更新日 : 2020年9月14日 レペ 国内小説 【本の感想】ねじめ正一『高円寺純情商店街』 昭和の商店街の風景をそのまま写し取ったような連作短編集です。詩人の著者ならではで、言葉の選び方にとても気を配っているようです。人物や情景が、暖かな目線で生き生きと描かれており、読者の心に染み入ります。