2019年10月30日 / 最終更新日 : 2020年9月23日 レペ 国内小説 【本の感想】皆川博子『恋紅』 江戸時代が終焉を迎えつつある頃の遊郭を舞台に、楼主のお嬢様と旅役者の恋を描いた作品です。遊郭にうずまく男女の情念や芝居にかける役者の執念の表現は、著者の筆によって、幻想的ともいえる妖しさをともなっています。
2019年10月19日 / 最終更新日 : 2020年9月9日 レペ 国内小説 【本の感想】山本兼一『利休にたずねよ』 美の求道者 千利休の生涯を描いた作品です。本作品は、千利休の切腹前夜 70歳から魚屋の道楽息子だった19歳へ、時を遡るかたちで物語が展開します。冒頭の、利休が殺した女という独白、そして緑釉の香合の謎が、ラストまで読者を引っ張っていくことになります。
2019年8月28日 / 最終更新日 : 2020年8月31日 レペ 国内小説 【本の感想】村山由佳『星々の舟 Voyage Through Stars』 昔気質の職人の父、長男、次男、長女、次女ら家族の、それぞれの人生のひと時が描かれた連作短編集です。赦されない愛もひとつの愛のかたち。彼らが、それぞれの愛に懊悩する(した)姿が描かれていきます。
2019年8月19日 / 最終更新日 : 2020年8月18日 レペ 国内小説 【本の感想】逢坂剛『カディスの赤い星』 フランコ政権下のスペインを舞台した冒険小説です。幾度も訪れる怒涛のクライマックスは驚きの連続でしょう。文学賞を多く受賞したのも頷けます。作家として売れるまであたためていた作品とのことですから、まさに魂の一冊です。
2019年7月23日 / 最終更新日 : 2020年8月7日 レペ 国内小説 【本の感想】金城一紀『GO』 民族差別というものが根底にはあります。でも、それは逆境というひとつの制約の形を表しているのであって、これを殊更に注目すべきではないのかもしれません。逆境に押し潰されそうになりながら、それ跳ね除けるバイタリティとタフさ、その快活さを見るべきなのです。
2019年7月1日 / 最終更新日 : 2020年8月5日 レペ 国内小説 【本の感想】山本文緒『プラナリア』 明るくも、楽しくも、元気良くもない女性が主役です。一言で表すと鬱陶しい。明日への一歩手前で、うじうじと硬直している状態です。好き嫌いは別として、読者を鬱陶しくさせるのは、著者の筆力の高さなのでしょう。
2019年6月5日 / 最終更新日 : 2020年8月5日 レペ 国内小説 【本の感想】坂東眞砂子『山妣 (やまはは)』 明治末期、東北の旧炭鉱町を舞台に濃密な人間模様が描かれた作品です。雪深い田舎の風物、そこに暮らす人々が、美的かつねちっこく筆致で描かれています。ホラーではありませんが、終盤にかけてハラハラの興奮度はホラーなみです。
2019年5月16日 / 最終更新日 : 2020年8月5日 レペ 国内小説 【本の感想】渡辺淳一『光と影』 運命の悪戯で全く別の人生を歩むこととなった二人の男。本作品には男のジェラシーが丹念に描かれていますが、ここは後の大恋愛小説家としての萌芽が見られますね。著者の医師としての視線を巧みに取り入れた密度の濃い作品です。
2019年5月14日 / 最終更新日 : 2020年8月5日 レペ 国内小説 【本の感想】藤田宜永『愛の領分』 30年の時を経て不倫していた男女が再会し、複雑な人間模様が浮かび上がるという作品。長らく恋愛から遠ざかっている男の熾火に激しく共感します。中心人物らは50を越していますから、大人極まった人のための恋愛小説ですね。
2019年3月31日 / 最終更新日 : 2020年8月18日 レペ 国内小説 【本の感想】綱淵謙錠『斬』 1972年 第67回 直木賞受賞作。 綱淵謙錠『斬』は、世襲の試刀師であり、処刑人でもあった山田浅右衛門の物語です。 本作品は、幕末の動乱が終息し、日本が西洋化を推し進めていく明治初期を時代背景としています。武士の時代が […]