2019年5月20日 / 最終更新日 : 2020年10月1日 レペ 国内小説 【本の感想】伊藤たかみ『八月の路上に捨てる』 どこにでもある日常の些細なさざ波を、ほのぼのとした語り口で描いた作品集。どの作品も心温まる話というわけではないのですが、文体が清々しくて読んでいて気持ちが良くなります。昭和のホームドラマのようです。
2019年5月19日 / 最終更新日 : 2020年8月18日 レペ 国内小説 【本の感想】恩田陸『夜のピクニック』 賢くてルックスの良い高校生らが、八十キロに及ぶ歩行をしながら愛や友情や憎しみや赦しの感情がごちゃ混ぜなった時を過ごします。感情的な揺れと身体的な疲労の末の、ラストの爽快感は一読に値します。若いって素晴らしい。
2019年5月18日 / 最終更新日 : 2021年1月13日 レペ 国内小説 【本の感想】横山秀夫『震度0』 (悪い意味ではなく)イラつく警察小説です。本作品は登場人物たちの嫌らしさが渦巻いていて、物語に入り込むと抜け出せなくります。端的に言うと厭な奴らしかいません。だから、イラつかせるのです。リアルな不快感が、本作品に読み応えを与えています。
2019年5月16日 / 最終更新日 : 2020年8月5日 レペ 国内小説 【本の感想】渡辺淳一『光と影』 運命の悪戯で全く別の人生を歩むこととなった二人の男。本作品には男のジェラシーが丹念に描かれていますが、ここは後の大恋愛小説家としての萌芽が見られますね。著者の医師としての視線を巧みに取り入れた密度の濃い作品です。
2019年5月14日 / 最終更新日 : 2020年8月5日 レペ 国内小説 【本の感想】藤田宜永『愛の領分』 30年の時を経て不倫していた男女が再会し、複雑な人間模様が浮かび上がるという作品。長らく恋愛から遠ざかっている男の熾火に激しく共感します。中心人物らは50を越していますから、大人極まった人のための恋愛小説ですね。
2019年5月13日 / 最終更新日 : 2020年8月5日 レペ 国内小説 【本の感想】吉村萬壱『ハリガネムシ』 悪い意味ではなく、とても厭な小説です。厭な気分にさせるのは、理性で押さえつけている暗い剥き出しの欲望に共鳴してしまうからなのかもしれません。読み切るのに嫌悪に耐えうる精神力を要しますが、残酷なまでに人間の本質を抉り出す著者の筆力に感嘆してしまいます。
2019年5月12日 / 最終更新日 : 2020年8月5日 レペ 国内小説 【本の感想】泉鏡花『春昼・春昼後刻』 収録されている二作品「春昼」と「春昼後刻」は、続きものの中篇です。タイトルから穏やかでゆるゆるした物語を想像してしまいますがそうではありません。鏡花が大好きなお化けや妖怪は登場しないけれど、夢物語のごとき艶やかな不気味さが作品を包み込んでいます。
2019年5月11日 / 最終更新日 : 2020年8月5日 レペ 国内小説 【本の感想】籘真千歳『スワロウテイル人工少女販売処』 伏線を張り巡らせたミステリ仕立てのプロットに、エッジの効いたキャラクターが活躍する満足度の高いSF作品です。クールさを保ちつつ悲哀を謳い上げているのが、本作品の素晴らしい点です。
2019年5月9日 / 最終更新日 : 2020年8月5日 レペ 国内小説 【本の感想】長嶋有『猛スピードで母は』 無邪気に親と向きあうでもなく、かといって割り切ることも無視することもできない。なんとなく誰かが傷つくことを恐れてしまう。そんな子供の心情が、簡潔で淡々とした文章から滲み出てきます。
2019年5月8日 / 最終更新日 : 2020年8月18日 レペ 国内小説 【本の感想】窪美澄『ふがいない僕は空を見た』 主婦と男子高校生の不倫を軸に、男子高校生の周囲の人々それぞれの人間模様が描かれた連作短編集です。どんなに不甲斐なくても、今が最悪の状況であっても、明日を生きる術はあるというメッセージを受け取りました。