2019年7月30日 / 最終更新日 : 2020年8月31日 レペ 国内小説 【本の感想】阿部和重『無情の世界』 初期作品の中でも分かり易い短編集です。他の作品のように、明確なテーマを見出すことはできません。収録されている三作品に通底しているものを見付けるとするなら、鬱屈した暴力衝動の発露となるでしょうか(無理やりの解釈だけれども)。
2019年7月29日 / 最終更新日 : 2020年10月1日 レペ 国内小説 【本の感想】乙一『きみにしか聞こえない―CALLING YOU』 『Calling You』、『傷-KIZ/KIDS』、『華』 三作品が収録されています。愁いのある美麗なカラーイラストが、作品の胸をうつ読後感にとてもピッタリ。人恋しくなってしまうような一抹の寂しさが漂っています。
2019年7月28日 / 最終更新日 : 2020年8月11日 レペ 国内小説 【本の感想】沼田まほかる『ユリゴコロ』 亡き母親が殺人鬼だった? 沼田まほかる 『 ユリゴコロ 』は、あり得ざる物語ですが、読み進めるうちに心をぎゅっと鷲掴みされてしまいました。著者の他の作品のように男に対する怨嗟をまき散らす事はなく、残酷ですが意外な結末には清々しさすら漂います。
2019年7月26日 / 最終更新日 : 2021年1月19日 レペ 国内小説 【本の感想】柚木麻子『けむたい後輩』 憧れの先輩(女子)に翻弄され続けたお嬢様女子大生の四年間、そしてその後の物語です。主人公の健気っぷりと先輩の理不尽っぷりに怒りがこみ上げます。ラストは痛快に!と思っていたところ、予想を上回ってホラーなみのうすら寒さを感じました。
2019年7月23日 / 最終更新日 : 2020年8月7日 レペ 国内小説 【本の感想】金城一紀『GO』 民族差別というものが根底にはあります。でも、それは逆境というひとつの制約の形を表しているのであって、これを殊更に注目すべきではないのかもしれません。逆境に押し潰されそうになりながら、それ跳ね除けるバイタリティとタフさ、その快活さを見るべきなのです。
2019年7月22日 / 最終更新日 : 2020年11月20日 レペ 国内小説 【本の感想】重松清『ナイフ』 5つの短編からなる作品集で、うち4作品はいじめを背景としています。いじめを受けている子供たち、そしてその家族に寄り添うように著者は語りかけます。子供の気持ち、親の気持ちそれぞれを理解できてしまうので、穏やかではありません。琴線を鳴らされまくったようです。
2019年7月18日 / 最終更新日 : 2021年7月5日 レペ 国内小説 【本の感想】西加奈子『漁港の肉子ちゃん』 快活過ぎるエキセントリックな性格の母、通称 肉子ちゃん。肉子ちゃんと悩める美少女の娘の愛が溢れ出る作品です。登場人物らの善意が良いですね。いや、笑ろたっ!そして、感動したっ!逆境を跳ね返す勇気を貰えるねっ!
2019年7月17日 / 最終更新日 : 2021年1月6日 レペ 国内小説 【本の感想】横山秀夫『影踏み』 ”ノビ師”といわれる侵入盗が主役の連作短編集です。人間の本質を抉っていく横山節は、追われるものを主役に据えているためか、切迫感を伴なった重苦しさと切なさが漂います。
2019年7月15日 / 最終更新日 : 2020年10月28日 レペ 国内小説 【本の感想】古川日出男『アラビアの夜の種族』 書物の、書物による、書物のための物語です。翻訳小説という体裁を取りながら、著者らしいリズムを保った美しい日本語で彩られた奇書の幕開けです。夜ごと語られた百物語の結末は!読了した時に初めて本作品がミステリとして楽しめるものだと気付くのです。
2019年7月14日 / 最終更新日 : 2020年11月19日 レペ 国内小説 【本の感想】舞城王太郎『ディスコ探偵水曜日』 まい子専門の探偵ディスコ・ウェンズデイが主役の、奇妙奇天烈な物語です。文庫上中下巻と分量からして読む前から覚悟が必要な作品。そして読み進めながらも、途中で挫折しそうな気持を奮い立たせていく読書アスリート的な心構えが必要な作品です。