2019年12月29日 / 最終更新日 : 2021年1月7日 レペ 国内小説 【本の感想】横山秀夫『看守眼』 ノンシリーズの短編集です。D県警もF県警も登場しませんが、警察や役所の中のあまり表には現れない人々を主役に据えています。じんわりと胸に迫るほろ苦い後味が、著者ならではです。暗い物語ですが、魅せられますね。
2019年12月24日 / 最終更新日 : 2020年10月8日 レペ 国内小説 【本の感想】湊かなえ『サファイア』 宝石を象徴的にストーリーへ組み入れた短編集です。人の悪意に焦点を当てた後味の悪いイヤミスはなくて、ほっこり系のミステリが多く収録されています。アタリ、ハズレの振れ幅が大きい著者の作品の中ではアタリです。
2019年12月20日 / 最終更新日 : 2021年1月13日 レペ 国内小説 【本の感想】横山秀夫『顔 FACE』 D県警の婦警を主役に据えた連作短編集です。信念を貫いたため組織から爪弾きにされてしまった20代の女性が描かれています。嫉妬、悔悟、混迷といった主人公の内省的な部分にスポットが当たっているのが、本短編集の特徴でしょうか。
2019年12月13日 / 最終更新日 : 2020年9月29日 レペ 国内小説 【本の感想】辺見庸『自動起床装置』 通信社の宿直者を時間通りに起床させる「起こし屋」と眠りにまつわる物語です。読み進めていくと、「起こし屋」の語る、眠り哲学というべきものに魅了されてしまいます。とくに、眠りの芯に神様が宿るという考え方は印象的です。
2019年12月1日 / 最終更新日 : 2020年8月31日 レペ 国内小説 【本の感想】薬丸岳『刑事のまなざし』 通り魔に娘を植物状態にされた元法務技官の刑事 夏目信人が主役のミステリ短編集です。収録作品全7編に通底しているのは、決して癒えることのない心の痛み。夏目は、愛のために人を殺し、愛の裏返しで人を殺してしまう人々の心の奥底を炙り出していきます。
2019年11月17日 / 最終更新日 : 2020年9月15日 レペ 国内小説 【本の感想】田辺聖子『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニィ)』 恋愛体質の妙齢の女性の物語です。半世紀も前の作品で、流石に言い回しやシチュエーションは古色蒼然としていますが、男女関係の根っこの部分や恋愛至上主義の女性の心の動きは、些かも変化していないことが分かります。
2019年11月11日 / 最終更新日 : 2020年9月14日 レペ 国内小説 【本の感想】菅浩江『そばかすのフィギュア』 びっくり仰天のアイディアとか、ハードSFのガジェットが飛び出すわけじゃありませんが、かえってそれが古さを感じさせないのでしょう。SFならではの舞台装置を借りながら、人の内面をじっくりと見つめたバリエーションの広い作品集となっています。
2019年11月10日 / 最終更新日 : 2021年1月7日 レペ 国内小説 【本の感想】横山秀夫『深追い』 三ツ鐘警察署を舞台とした連作短編集です。同じ職場に務める警察官らが近接する住居で暮らし、独特のコミュニティを形成されています。生活空間に縦社会が持ち込まれているのが特徴的です。ここで、息苦しさが漂う人間ドラマが展開されます。
2019年11月4日 / 最終更新日 : 2020年9月9日 レペ 国内小説 【本の感想】吉田修一『あの空の下で』 ANAの機内誌『翼の王国』に連載されていた12作品と、旅にまつわる6つのエッセイが収められた作品集です。直接的にしろ、間接的にしろ何らかが旅に触れられていて、(旅にそそられはしませんが)まさに旅の空で読む物語の体裁となっています。
2019年10月31日 / 最終更新日 : 2021年1月7日 レペ 国内小説 【本の感想】横山秀夫『真相』 お家芸(?)の警察小説ではありません。しかしながら、焦燥感を伴った苦悩という”らしさ”は健在です。むしろ、警察という一般には馴染みのない世界の枠組みをとっぱらったがゆえに、真に迫っているようです。