2020年2月16日 / 最終更新日 : 2020年12月14日 レペ 国内小説 【本の感想】筒井康隆『魚籃観音記』 孫悟空と観音様の濡れ場をひたすら書きつづっています。宗教観の違う国なら大変な問題になっているでしょう。冒涜的ともいえる毒が著者の持ち味。もっとも、エロ表現の多彩さに笑ってしまうばかりで歓喜法悦には程遠いのですが。
2020年2月15日 / 最終更新日 : 2020年12月14日 レペ 海外小説 【本の感想】フィリップ・K・ディック『ヴァリス』 狂気へ誘われた男が、秘密教義を著していく過程を描いています。神学、哲学、心理学、歴史学が、渾然となって捻り出された教義は、難解この上ありません。ディックの精神世界と博覧強記ぶりに圧倒される作品です。
2020年2月14日 / 最終更新日 : 2020年12月16日 レペ 国内小説 【本の感想】逢坂剛『斜影はるかな国』 スペイン内戦に身を投じた日本人義勇兵を追うミステリです。1936年と現在が錯綜しながら、物語は進みます。謎の殺し屋、隠された財宝、洞窟内での死闘という冒険小説の趣もあり、ラストの驚きの真相まで一気に読ませてくれます。
2020年2月13日 / 最終更新日 : 2020年9月24日 レペ 海外小説 【本の感想】ブライアン・ガーフィールド『ホップスコッチ』 引退し老境に差し掛かった男が、世界を相手に一泡吹かせようと試みます。 プロットだけを読むと、”賞味期限切れ”男たちに夢と勇気を与える物語のようですね。ラストはもうひと華あっても良いんじゃないでしょうか。
2020年2月12日 / 最終更新日 : 2020年8月17日 レペ 国内小説 【本の感想】花村萬月『皆月』 「みんな、月でした。がまんの限界です。さようなら」しょぼくれた40男が、新しい自分を発見していく物語です。中年版ビルドゥングスロマンというところでしょうか。定番の自己再生ものですが、ロードノベルでもあります。
2020年2月11日 / 最終更新日 : 2022年4月2日 レペ 国内小説 【本の感想】原田マハ『#9(ナンバーナイン)』 パッとしない女子が、ひとかどの男に見初められ、才能を開花させてしまうというシンデレラ・ストーリーです。ボーイ・ミーツ・ガールのありふれたラブストーリーとは違って、せつなさをきっちりと印象付ける重厚な仕上がりになっています。
2020年2月10日 / 最終更新日 : 2020年11月2日 レペ 国内小説 【本の感想】鮎川哲也『憎悪の化石』 鬼貫主任警部が主役のミステリです。本作品は、真犯人に辿り着くまでに二回のアリバイ崩しを行います。なかなかお目にかかれない趣向ではあるのですが、”足で訊く”捜査が十分に描かれておらず、物足りなさを感じてしまいます。
2020年2月9日 / 最終更新日 : 2020年12月23日 レペ 海外小説 【本の感想】ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『星ぼしの荒野から』 ファース・トコンタクト、スペース・オペラ、幻想、終末ものとバリエーションが多く、いずれもシニカルで苦い後味を感じるSF短編集。ネビュラ賞受賞作「ラセンウジバエ解決法」は必読です!
2020年2月8日 / 最終更新日 : 2020年12月8日 レペ 国内小説 【本の感想】志水辰夫『背いて故郷』 叙情的な作風で知られる著者だけに、登場人物の心情が精緻に描写されているミステリです。いわゆるシミタツ節。あざといセリフ回し、ストイックな生き方、必然性のない暴力沙汰は皆無です。ラストは最後の一撃。しかも、2度あっ!と言わせます。
2020年2月7日 / 最終更新日 : 2020年12月8日 レペ ノンフィクション 【本の感想】塩見鮮一郎『異形にされた人たち』 明治維新後の解放令によって、当時の知識人に改めて認識された江戸時代の賤民階層について解説を試みるものです。著者がアウトラインを述べ、それにそって批評を加えていくので、民俗学の門外漢であっても理解を阻害するこはないでしょう。