2019年4月19日 / 最終更新日 : 2020年8月18日 レペ 国内小説 【本の感想】大江健三郎『性的人間』 読後感がすこぶる悪い作品です。著者が、セクシュアリティをテーマとしている時代の作品ということですが、主人公が内省的で閉塞感が強く、読んでいて凹んできます。ただ、これは内容が好きか嫌いかの次元の話であって、作品に力があることには相違ありません。
2019年4月18日 / 最終更新日 : 2020年8月18日 レペ 国内小説 【本の感想】伊坂幸太郎『砂漠』 大学生活を始めた北村を中心に、彼を取り巻く新入生らの交流が描かれた作品です。賭けボーリングに巻き込まれたり、強盗事件に遭遇したり、超能力者 V.S. 科学者のバトルにかかわったりする度、絆を強くしていきます。あぁ、羨ましい。
2019年4月17日 / 最終更新日 : 2020年8月18日 レペ 国内小説 【本の感想】沼田まほかる『彼女がその名を知らない鳥たち』 イヤミスの真骨頂ここにアリ!ともいうべき作品です。女性の中で燻る嫌いな男性の描写が、戦慄を覚えるくらいに凄味があります。一つひとつの行動に嫌悪を積み重ね、沸騰していく描写にウンザリさせられるのですが、ここは著者の力量の証でしょう。
2019年4月15日 / 最終更新日 : 2020年9月1日 レペ 国内小説 【本の感想】乙一『暗いところで待ち合わせ』 視力を失った女性と、その家に逃げ込んだ殺人事件の容疑者が演じる無言劇です。孤独な二人が同じ空間を共有しながら、心を通わせていく様が感動を呼びます。意外な真実で幕を閉じますが、とても晴れやかな気分になるでしょう。白乙一派には感涙ものの逸品です。
2019年4月12日 / 最終更新日 : 2020年8月18日 レペ 国内小説 【本の感想】中村文則『土の中の子供』 自己破壊衝動を持つ男の物語ですが、ありきたりトラウマ話に陥っていません。自身を滅するごとき行動は、過去を乗り越えるための通過儀礼として描かれています。タイトルの意味から、再生への希望を窺い知ることができます。
2019年4月10日 / 最終更新日 : 2020年9月9日 レペ 国内小説 【本の感想】吉田修一『パーク・ライフ』 純文学が表しようのないものを文章にする文学ならば、何もないことをしたためている 吉田修一 『 パーク・ライフ 』も純文学なのでしょう。何もないのに詰まらなくないのが素晴らしい。ハッピーもアンハッピーもない。フツーであることがとても心地良い。 『 パーク・ライフ 』はそんな作品です。
2019年4月9日 / 最終更新日 : 2020年8月18日 レペ 国内小説 【本の感想】麻耶雄嵩『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』 噂に違わぬぶっ飛んだミステリです。「問題作」と言われるのも 宜なるかな。アンチミステリという表現が正しいかは分かりませんが、既成の概念をぶっ壊した作品ではあるのでしょう。恐ろしいものを読んでしまったというのが実感です。
2019年4月8日 / 最終更新日 : 2020年11月19日 レペ 国内小説 【本の感想】舞城王太郎『好き好き大好き超愛してる。』 「愛は祈りだ。」で始まる饒舌な物語です。死を目前にした恋人とのひととき、そしてその後を描いていますが、苦しみ悲しみを超越したものとなっています。溢れんばかりの思いのたけ。饒舌文体が拍車をかけます。びっくり仰天のラブ・ストーリーです。
2019年4月4日 / 最終更新日 : 2020年8月18日 レペ 国内小説 【本の感想】有川浩『植物図鑑』 突然の出会い、つのる思い、嫉妬、別離、そして・・・ という恋愛小説の王道フォーマットに則っています。「女の恋は上書き式、男の恋は保存式」(名言!)という さやかにとって、上書きできない恋の物語。めろめろメロウな甘茶ソウル的作品です。
2019年4月1日 / 最終更新日 : 2020年8月18日 レペ 国内小説 【本の感想】伊坂幸太郎『死神の精度』 ミュージックが好きで渋滞が嫌いな雨男、否、雨死神が、死を裁定する物語です。あらすじからは、人の生に寄り添う善意といった、ありがちな展開を予想してしまいますが、そんな甘ったるさはありません。千葉と名乗る死神は至ってクールに生と死を見つめていくのです。