2019年10月29日 / 最終更新日 : 2020年8月21日 レペ 国内小説 【本の感想】阿部和重『ニッポニアニッポン』 特別天然記念物トキをめぐる革命闘争の記録です 。本作品の主人公 鴇谷春生(とうやはるお)は、自身の姓に含まれるトキへ並々ならぬ関心を抱いています。読み進めると、この執着心は痛々しいまでの自己実現への希求であることがわかります。
2019年10月27日 / 最終更新日 : 2020年9月9日 レペ 国内小説 【本の感想】吉田修一『パレード』 2LDKのマンションをシェアする男女の群像劇です。冒頭の、先輩の彼女に恋してしまった杉本良介の話は、ゆるゆるの青春小説の趣。涙あり笑いありで最後はホットなドラマを予想しましたが、読み進めると、これはすっかり裏切られることになります。
2019年10月26日 / 最終更新日 : 2020年8月6日 レペ 国内小説 【本の感想】西加奈子『さくら』 美男・美女の両親、兄、妹。背だけは高い次男の主人公を入れた五人家族+犬のさくらの日々が描かれた作品です。あまりに残酷な出来事に乱れる家族の絆。終盤に語られるエピソードに胸が締めつけられることでしょう。ラストは、ホロリときてしまいます。
2019年10月24日 / 最終更新日 : 2020年10月28日 レペ 国内小説 【本の感想】辻村深月『ツナグ』 生者と死者が相見えるひとときを描いた連作短編集です。生者からの依頼を受けて死者との面会をコーディネートするものがツナグ。本作品集は、ツナグ見習い(?)の男子高校生 歩美が使者の任を担います。
2019年10月23日 / 最終更新日 : 2020年10月28日 レペ 国内小説 【本の感想】古川日出男『LOVE』 群像劇でありながら、ひとつの物語ではありません。主役が存在しないのです。それがストーリーを語らせるのを困難にしています。雑多な登場人物たちは、何かに傷つき、何かにとらわれています。彼らが都市そのもののようですね。
2019年10月20日 / 最終更新日 : 2020年10月8日 レペ 国内小説 【本の感想】皆川博子『壁・旅芝居殺人事件』 旅芝居を舞台としたミステリです。ストーリーの進行と共に、美しく華やかな表舞台と、薄汚れじめついた裏側という虚飾の世界が、雄弁に語られていきます。艶やか文体に出だしから、どんどん引き込まれていく逸品です。
2019年10月19日 / 最終更新日 : 2020年9月9日 レペ 国内小説 【本の感想】山本兼一『利休にたずねよ』 美の求道者 千利休の生涯を描いた作品です。本作品は、千利休の切腹前夜 70歳から魚屋の道楽息子だった19歳へ、時を遡るかたちで物語が展開します。冒頭の、利休が殺した女という独白、そして緑釉の香合の謎が、ラストまで読者を引っ張っていくことになります。
2019年10月18日 / 最終更新日 : 2020年11月2日 レペ 国内小説 【本の感想】花村萬月『ゲルマニウムの夜』 殺人を犯し、少年の頃暮らしていた修道院兼教護院に身を隠す青年 朧が主役の連作短編集です。本作品集に通底するのは、欺瞞に対する沸々とした憤懣でしょうか。
2019年10月17日 / 最終更新日 : 2020年8月26日 レペ 国内小説 【本の感想】津村記久子『ポトスライムの舟』 ワーキングプアがクローズアップされていた世相を反映した作品なのでしょう。本作品は、そこに見られる悲劇に拘泥するのではなく、むしろ、日々を前向きに生きていこうという活力、そして清々しさを感じさせてくれます。
2019年10月16日 / 最終更新日 : 2022年4月2日 レペ 国内小説 【本の感想】原田マハ『旅屋おかえり』 元アイドルにして、今や崖っぷちアラサータレント 丘えりか の奮闘記です。旅へ行けない人の代わりに、旅をする”旅屋”のコンセプトは魅力的なので、いくつかの旅を連作短編として盛り込んでくれたら、感慨深いものがあったかもしれませんね。