【本の感想】ジョン・ディクスン・カー『絞首台の謎』

本の感想 ジョン・ディクスン・カー『絞首台の謎』

ジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr)『絞首台の謎』(The Lost Gallows)は、予審判事アンリ・バンコランが主役のミステリ シリーズ第2作目(1931年)です。

バンコラン、友人ジェフ・マール(語り手)、元ロンドン警視庁副総監の名士ジョン・ランダ―ヴォーンが集うブリストーン・クラブ。サー・ジョンは、友人の奇妙な話として街中に忽然と現れた絞首台の謎を二人に語ります。それと符合するようにラウンジから絞首台の模型が発見されて ・・・ と、奇々怪々な物語が幕を開けます。

その夜、観劇に出かけたバンコラン一行に、一台の暴走リムジンが突っ込んできます。危うく難を逃れた彼らが、停止した車の中で見たものは、喉を掻き切られた運転手の姿。そう、死体が車を運転していたのです。

運転手の主人は、ブリムストーン・クラブに滞在中の、エジプト人 二ザーム・エル・ムルク。二ザームは行方がわからず、ほどなくして、ルイネーションで首を括られたとの情報がもたらされます。ルイネーションは、奇しくもサー・ジョンの友人が絞首台を目撃した街。しかし、ルイネーションなる街はロンドンには存在しないのでした ・・・

事件をめぐるバンコラン V.S. サー・ジョン。解決に自信満々のバンコランの捜査が開始されます。ムルクの従者ジョイエ、秘書グラフィン、情婦コレット・・・腹に一物をもった怪しい奴らをつるし上げ、バンコランは証拠をかき集めます。

さて、バンコランは、死者が運転する車、存在しない街の絞首台、ムルクの行方、そして17世紀の実在の首切役人ジャック・ケッチから届いた脅迫状、といった数々の謎を解き、サー・ジョンの鼻を明かすことができるのでしょうか。

真相は、過去の因縁話が絡んで全くの予想外なものとなってしまいました。振り返ってみれば、伏線はあちこちに散りばめられていますね。細かくて伝わりにくかったり、現実的かはどうかは疑問が残りますが、見事に回収してくれました。

本作品のバンコランは、オレって凄ぇ感はいつも通りです。しかし、メフィストフェレスと称された悪魔的な印象は薄いかな  ・・・ と思っていたら、最後の最後に待ってました!悪の栄えたためしなし。残酷な結末ですが、バンコランのシリーズは、そこが良いのです。