【本の感想】ジョー・ゴアズ『マンハンター』

ジョー・ゴアズ『マンハンター』(原著)

ジョー・ゴアズ(Joe Gores )『マンハンター』(Interface)(1974年) は、タイトルが表すとおり、マンハント=人間狩り、つまり追跡劇です。

私立探偵ニール・ファーゴの代理人ドッカーが、1キロのヘロインと17万5千ドルの現金と共に失踪しました。ブツの所有者であるシスコの暗黒街の中心人物ハリスとコリンスキーは、ニールに疑いに目を向けます。窮地に陥ったニールは、ドッカーの捜索に乗り出しますが、ドッカーは先々で暴力沙汰を起こすものの一向に行方が知れません。

ハリスとコリンスキーの手下たちを次々に煙に巻くドッカー。やがて、ドッカーは、ヤク中の富豪の娘ロビンに元に現れます。ロビンは、コリンスキーに軟禁状態にされていたのでした・・・

得体の知れない巨漢ドッカーを追う、私立探偵とマフィアの面々。ドッカーは、あざ笑うかのように追手を出し抜き、翻弄していきます。ドッカーの目的は、果たして何なのか。ニールは、窮地を脱することができるのでしょうか。

本作品は、暴力に彩られたハードボイルド・・・なのですが、ラストは、あっ!と驚く展開です。全ての出来事が、たった一つの動機に基づいていることが分かるのです。油断していた分、このどんでん返しは予想外。それはそれで、快感なのですが、所々、読み返さなければならないのが難点かなぁ。

ジョー・ゴアズと言えば、DKAファイルシリーズ。本作品や『ハメット』のようなノンシリーズのハードボイルド作品も良いですね。

(注)読了したのは角川文庫の翻訳版『マンハンター』で、 書影は原著のものを載せています 。

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