【本の感想】ジョー・ゴアズ『野獣の血』

本の感想 ジョー・ゴアズ『野獣の血』
「野獣の血」(原著)

1970年 アメリカ探偵作家クラブ(MWA)最優秀新人賞受賞作。

知る人ぞ知るDKAシリーズの著者ジョー・ゴアズ(Joe Gores)がMWAの最優秀新人賞を獲得したのが『野獣の血』(A Time of Predators)。本作品は、先生が悪辣な生徒に復讐を誓うという、まぁまぁお目にかかるプロットの作品です。

大学教授カート・ハルステッドが帰宅して目にしたのは、自殺を遂げた妻ポーラの姿でした。妻の死の原因に覚えがないカートは、刑事から、彼女が凌辱されていたという解剖結果を告げられます ・・・

カートは、元特殊部隊隊員という役どころ。そんなカートが、妻の復讐のために、忘れていた戦闘員という野性に目覚めていくという展開です。「人間の本質に敵意は存在しない」が信条の人類学の教授が変節して、警察が逮捕を断念した4人の少年たちを狩りたてていくのです。犯人たちと、その動機は冒頭から明らかにされているので、野獣と化したカートがどのように決着をつけるのかが興味の中心になるでしょう。

カートの犯人捜査の過程は面白いのですが、犯人たちの未熟さが露呈されるにつけて、どうにも後味が悪い結末となってきます。そのあたりは、カートが最終的に人間性を取り戻すことで救いを持たせているのでしょうね。ラストは、犯人逮捕に対して消極的な態度をとり続けた警察機構への怒りだけが残ります。カートの、非協力的な態度をとり続けた刑事に対する一言で、読者は一矢報いた感を味わうことになりますか。

ただ、カートが、犯人を目撃した少年の母(独身)へ恋愛感情が芽生えるあたり、向こうのミステリにありがちではあるものの、げんなりです。唐突なラブラブが入ると緊張感がトーンダウンするんですよね。

本書を読んでいて、『処刑教室 Class of 1984』を想い出してしまいました。映画の方は、先生が非情に徹していたのだけれど。

ペリー・キング主演『 処刑教室 Class of 1984 』

こちらが、1982年公開 ペリー・キング主演『 処刑教室 Class of 1984 』です。いじめられっ子で、マイケル・J・フォックスが出演しています。

(*)読了したのは角川文庫の翻訳版『野獣の血』で、書影は原著のものを載せています。

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