【本の感想】ジョー・ゴアズ『裏切りの朝』

ジョー・ゴアズ『裏切りの朝』(原著)

ジョー・ゴアズ(Joe Gores)『裏切りの朝』(Come Morning)(1986年)は、ノンシリーズのハードボイルド作品です。

8年間の刑期を終え、刑務所から出所したラニアンを待ち受けていたのは、保険会社調査員のモイヤーズ、そして自称レポータのルイーズでした。

目当ては、ラニアンが、強盗で逮捕された際に隠した200万ドルの宝石なのか。宝石に在りかがバレれば、ラニアンは、刑務所へ逆戻りです。

ラニアンを付け回し、あの手、この手で口を割らせようとする奴ら。バレないように宝石を回収したいラニアンでしたが、ルイーズといい仲になった挙句、命を狙われるようになります・・・

本作品は、主人公ラニアンが、ストイック一辺倒じゃなく、惚れた女に絆されるほどの弱さを持っているから良いのです。謎の女ルイーズの目的を察知しながらも、自分への愛情を信じたいラニアンの男心。といっても、8年の辛抱を棒に振るわけにはいきません。ラニアンとルイーズの出会いが打算的であっても、二人が徐々に心を通わせていく様は、まるで恋愛小説のようです。

しかし、・・・肝心要の宝石は、8年の歳月で隠し場所が失われており、ラニアンは失意のどん底に陥ります。挙句の果てには、ラニアンを罠に嵌めた奴らが殺害されたことで、警察からも追われるようになって・・・と、続きます。 

裏切りに次ぐ、更なる裏切りで、窮地に陥るラニアン。ラニアンの、ここ一番のキレッキレな頭脳戦が見所です。警戒厳重な施設への命を張った侵入行や、危機一髪のロッククライミングシーンといった、ハラハラドキドキも用意されています。

ラストは、どんでん返しとも言うべき、あっと驚く究極の裏切りがっ!

締めくくり方も、ぐっときます。

(注)読了したのは角川文庫の翻訳版『裏切りの朝』で、 書影は原著のものを載せています 。

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