【本の感想】ジョー・ゴアズ『死の蒸発』

本の感想 ジョー・ゴアズ『死の蒸発』
「死の蒸発」(原著)

ジョー・ゴアズ(Joe Gores)といえばDKAシリーズ(ダン・カーニー・アソシエイツ)が代表作。ダン・カーニーを筆頭とした探偵事務所の面々が主役のハードボイルドです。

そもそもこの探偵事務所、代金未払いの車を債権者の依頼にもとづき回収することを生業としています。派手はアクションやハラハラドキドキは無縁のように思えますが、なかなかどうしてスリリングな展開が待っているシリーズです。

『死の蒸発』はDKAシリーズの第1作目(DKA探偵事務所ファイル1)。

DAKの所員バートが何者かに殴打され、瀕死の重傷を負いました。回収したてのジャガーとともに崖から突き落とされたため、警察はバートによる自損事故を疑います。同僚の駆け出し探偵ラリー・バラッドは、バートの無実を信じ、バートとその恋人コリンのため犯人を追うことを決意します。ダン・カーニー所長からあたえられた時間は72時間。それまでに事件を解決することを指示され、バラッドの不眠不休の追跡劇が始まります ・・・

バートの残した書類から、犯行の可能性のある6人の人物を洗い出していくバラッド。まさに、足で捜査をする探偵ものです。厳しい指示をあたえながら、カーニーが裏で捜査の補完をしていくというのがニクいですね。

捜査が進むうち6人それぞれにアリバイがあることが判明し、疲労困憊のバラッドは窮地に陥ります。迫りくる影に絶体絶命のバラッドは ・・・ とクライマックスをむかえます。

このあたりは、スリル満点。多少読み返さなければいけない(と思う)のですが、意外な犯人という趣向は、謎解きミステリとしても楽しめます。 

本作品ではバラッドは探偵稼業二年目の20代。シリーズが進むについれて成長しくことを予感させます。ボクサーあがりのバート、才媛のジゼルら探偵事務所の面々もどういう活躍を見せてくれるか楽しみです。

なお、本作品にはリチャード・スタークの悪党パーカーが出演し、カーニーと会話するシーンが挿入されています。このシーンは、『悪党パーカー/掠奪軍団』 でパーカーの側から描かれているようです。こういう巨匠同志の遊び心が楽しかったりします。

(注)読了したのは角川文庫の翻訳版死の蒸発で、書影は原著のものを載せています。