【本の感想】本多孝好『WILL』

腺崩壊確率UP = 老化を、女子力向上と読み替えることにしている今日この頃。初老のおっさんが女子力を向上するとどうなるかは、英EU離脱問題と同様の議論まで発展しそうなのでさておいて、本多孝好『WILL』を読みました。

読書のオフ会で『MOMENT』が泣けるとお話したところ、皆様のご批判を承り、泣ける本として同作者の『WILL』をおススメされた次第なのです。

『WILL』は、高校生の頃、両親を亡くし家業の葬儀屋を継いだ女性 森野が主役の連作短編集です。

『MOMENT』から7年たち29歳となった森野、『MOMENT』の主役 神田の”いま”を読むことができます。前作を読まなくても楽しめるのですが、森野、神田 二人の関係性を知っていた方が、涙腺崩壊確率はUPするでしょう。

森野の葬儀屋で葬式を出した方々が、不可思議な出来事に見舞われています。親族、そして死者の魂に安らぎを取り戻すべく、森野はその出来事の真相を明らかにしようとして ・・・ というのがそれぞれの短編の大まかな流れです。

決して、スーパーナチュラルなお話ではないので誤解なきように。

森野が解き明かす謎は、人の思いに深く根差しています。

が、泣けない。

心温まるお話であるがさっぱり泣けない ・・・ うーん。

なんだ大したことないな ・・・と油断したら、最後の最後でやられてしまいました。あぁ、そっちから攻めてくるんだと ・・・ 納得です(書きたいのですが、この辺を書いたら興ざめになるんでしょうね)。

とってもキュートで、ステキです。ラスト2行 森野の下の名前が明らかになるあたりで、スタバでカプチーノを飲みながら女子力がMAXとなってしまいました。スタバの他のお客様、不気味なおっさんでごめんなさい。

本作品で気になる点をあげるとすると森野の男言葉です。前作から違和感を感じていたのですが、心の声とのギャップで、表向きのクールさと裏腹の繊細さを演出しているのでしょうか。ここには、あざとさを感じてしまうのですが、どうでしょう。泣かせたろうに素直に乗っかった方が心地良いのかもしれませんね。

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