【本の感想】伊坂幸太郎『フィッシュストーリー』

本の感想 伊坂幸太郎『フィッシュストーリー』

伊坂幸太郎『フィッシュストーリー』は、ありそうでなさそうな4っつ物語が収められた作品集です。

伊坂ワールドお馴染みの黒澤が2作品に顔を出すほか、著者のその他の作品と人物、出来事等がクロスオーバします。fish storyは”ほら話”の意味。伊坂ワールドがそもそも、壮大なほら話なんじゃないでしょうか。

■動物園のエンジン
深夜になると動物園で眠る中年男 永沢。朝になるとマンション建設反対運動に参加しているようだ。私と知人の河原崎、恩田は、永沢をめぐり「推理ゲーム」を試みる。はたして、ここらさ推測できることは ・・・

主人公たちが繰り広げる思索が、作中の仕掛けと相まって、謎めいた発展をしていく過程が楽しいですね。オチは、スカっとはいきませんが、ほのぼのとした余韻を残してくれます。

■サクリファイス
人捜しを請け負い小暮村へ辿り着いた黒澤。小暮村は生贄を捧げる風習「こもり様」を続けていた。それは、サイコロで選んだ村人を一定期間、洞窟に閉じ込めるというものだった。話を聞いた黒澤はそこに胡散臭さを感じて探りを入れ始める ・・・

村に隠された秘密を暴く黒澤の洞察力が堪能できる作品です。犯罪者 黒澤ならではの締めくくり方がいいですね。黒澤の

人を信じてみるというのは、人生の有意義なイベントの一つだ。

は名言です。

■フィッシュストーリー
現在のハイジャック現場から、二十数年前、三十数年前、十年後とひとつの音楽を通じで紡ぎだされる時空を超えたほら話。「無音の間奏」が奏でるロマンチックなドラマ。あらすじを語るのは野暮というものでしょう。

■ポテチ
空き巣の今村、そして同棲相手の大西。野球選手 尾崎宅で仕事の最中、今村は、留守番電話に入った尾崎に助けを求める女性のメッセージを聞いてしまう。今村は、その女性を助けようと決意して ・・・

塩味ポテトチップスに重ねた今村の切ない思い。ほろりとさせてくれる本作品集の中でお気に入りの逸品です。ピタゴラスの定理や万有引力の法則を発見した!という天才(?)今村。特に、純粋無垢な彼のキャラクターがすばらしいのです。

伊藤淳史、高良健吾出演『フィッシュストーリー』

2009年公開 伊藤淳史、高良健吾出演『フィッシュストーリー』はこちら。

濱田岳、木村文乃主演『ポテチ』

2012年公開 濱田岳、木村文乃主演『ポテチ』はこちら。

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