【本の感想】佐藤義典『ドリルを売るには穴を売れ』

佐藤義典『ドリルを売るには穴を売れ』

人々は4分の1インチのドリルを欲しいのではない。人々が欲しいのは4分の1インチの穴である

セオドア・レビット

佐藤義典『ドリルを売るには穴を売れ』は、タイトルで想像がつく通りマーケティングの本です。

穴そのものを売ることができるかはさておいて、目を引くタイトルは、まさに本書で主張するところの、顧客の価値への訴求を実践していることになりますか。(ハーバード大学の先生のありがたいお言葉のようですが)

マーケティング関連の本を読むと、統計・解析等の科学的な手法やフレームワークをこねくり回した分析作業の末に、情熱とか想いといったモチベーションが大事!と述べいるのを多々目にします。無機質な数字並べて難しい顔をしているより、熱いパッションで前のめりの方が、自分としては性に合っているようです。

本書は、著者の解釈による理論を鵜吞みにしてよいが疑問を持ってしまいますが、基本的な内容から始めているので、マーケティングとは何ぞや?の導入としては最適です。ただし、自分は、物語仕立てのマーケッティグ入門をちょいちょい目を通しているせいか、内容の良し悪しは別として、途中で飽きてしまいました。

ぐっとくる文言が散りばめられているので、抜き出してみましょう。

マーケティングをする際には、高い倫理観を持たなければならない

Webマーケティングというと胡散臭い感じがするけれど、本来はこれなっ!

最後に勝つのは、勝ちたい、っていう執念、想いを持っているやつだ

執念は歳とともに、衰えていくもの。さぁ、奮い立たせよ!

マーケティングがしっかりしている会社では、このようにベネフィット、ターゲット、差別化、4Pという流れが非常に美しい

美意識だよなぁ。山口周『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~経営における「アート」と「サイエンス』と共通するものがあります。(リンクをクリックいただくと感想のページに移動します

『想い』って、相手の心って書くんだ

おっと、恥ずかしい・・・

人が大きく伸びるには3つの条件があると思う。ひとつめは、自分の実力を超えるゴールが設定されること。ふたつめは、自由に動けて自分でその責任を追うという自由と責任のセット。・・・(中略)・・・3つめが、支えてくれる指導者の存在

こんな風に羅列してみると、自分は精神論しか見ていないのだなと、改めて認識してしまいます。サイエンスよりアート、という言葉でまとめちゃいたくなる今日この頃です。

本書は、疑問や反感を覚えることはありませんでした。そういう意味では、万人受けする優等生的な著作なのでしょう。

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