【本の感想】カール・ハイアセン『トード島の騒動』

本の感想 カール・ハイアセン『トード島の騒動』

カール・ハイアセン(Carl Hiaasen)の作品は、ヒトの異常な部分をとんがらせたような奇矯なキャラクターが乾いた笑いを誘います。『トード島の騒動』(Sick Puppy)(2000年)には、そんなのヤツらがしこたま登場して組んず解れつするのだから、たまりません。

ロビイスト パーマ・ストウトの画策したトード島の開発事業は、環境運動家トゥイリー・スプリーを激怒させました。ストウトの愛犬を誘拐し、執拗に事業の計画中止を促すトゥイリー。愛犬ばかりでなく、妻デジーをも人質にとられたストウトは、トゥイリーの脅迫に屈しようとするのですが、知事、議員、開発業者らの利権が渦巻く開発事業は容易には止まりません ・・・

本作品は、著者の環境破壊に対する怒りがストレートに表れた作品です。

奇人変人を縦横無尽暴れさせながら、ニヤリとしてしまう笑いの中に深刻さをくるんでいるのがハイアセン流。ストーリーは、自然を偏愛するトゥイリーと、口八丁で世の中を思いのまま渡ってきた最上級の俗物ストウトの丁々発止を軸に展開しますが、クセ者どもの活躍がなんといっても面白いのです。

自然を破壊するものは、死をもって償わせることすら厭わないトゥイリー。愛人にバービー人形化に勤しむ開発業者クラプリー。救急電話を盗聴することに無上の喜びを感じる殺し屋ガッシュ。そして、ハイアセンのシリーズキャラクター 元フロリダ州知事にして、今や変人の極みスキンクが登場!

彼らに共通しているのは、病的ともいえる執着です。そもそもこの壊れっぷりが楽しいのですが、絡み合いながら個性を暴走させていく様が愉快痛快です。

自分のお気に入りはデジー。奇人変人の真っ只中にあって、デジーのチャーミングさがいっそう際立ってきます。

本の感想 カール・ハイアセン『トード島の騒動』

ガッシュに命を狙われるトゥイリー。現知事の依頼を受けトゥイリーを守るスキンク(ここでスキンクの知られざる秘密が判明!)。迷走を迷走を重ね思わぬおバカな結末が待っています。ここで、下巻の表紙が何を表しているかわかるのです。

エピローグはいつもは、”あの人は今”。これがまた笑えるんだよねぇ。

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