新入社員の頃、隣の席の三十代 先輩女性社員はおそれおおかったなぁ。 自分のトレーナーゆえに、挨拶の仕方から、電話の取り方まで、まさにご指導ご鞭撻の日々を送っていた上に、仕事上での実力差も圧倒的で、全く…
【本の感想】奥田英朗『ララピポ』
いつからか鏡が嫌いになりました。顔にシミ増えたなぁとか、なんだこの首のシワとか、鼻毛に白髪がっ!とか、良いことがありません。年取るってや~ね。
奥田英朗は、”しょうもないヤツ”を描くのが上手いなぁと思います。
本作品『ララピポ』にも、しょうもないヤツらが、わんさか登場します。しかも、コイツら、ぐつぐつと沸騰する性欲を、これでもかと見せ付けてくるのです。屈折した苛立がブレンドされていて、途轍もない異臭を嗅いだような眩暈を覚えてしまいます。
しかし、このしょうもなさは、明らかに自分の中にも存在します。鏡に映った自分の不都合な部分のようです。どうにも居心地が悪い。へらへらと読み進めながら、不覚にも共感などをして黄昏てしまうわけです。
a lot of people = ララピポ。
たくさんのひとびと。みんなのなかのだれか。みんなのなかのにあるもの。
本作品は、6人の”しょうもない”登場人物が奏でるエロ満載の”しょうもない”狂躁曲です。
次々に主役がバトンタッチしていくという、リレー形式(?)の群像劇となっています。前の話のちょい役が、次の話の主役になってつながるのがミソです。
とても良い子にはお見せできない類の作品で、あらすじも書けやしません。でも、「お好きですね~」と聞かれれば、「いや~それほどでもぉ~」と答えはするでしょう。読了してみれば、ちょっとだけ愛すべき”しょうもなさ”を感じることができます。
最終話の主人公 小百合の思いが本作品を象徴しているようです。
みんな、どんな人生を送っているのだろう。しあわせなのだろうか。
考えるだけ無駄か。小百合は鼻息を漏らした。泣いても笑っても、どの道人生は続いていくのだ。明日も、あさっても。
うん、うん。あれやこれやで達観しちゃったのね。
ちなみに、
自分の左頬のシミは、ハート型をしていて、これは小さい頃の娘には好評でした。このハートのメラニンちゃんだけは、ちょくちょく鏡で確認したりします。これまた、しょうもない ・・・
本作品が原作の、2009年公開 成宮寛貴、村上知子、中村ゆり 出演 映画『ララピポ』はこちら。
- その他の奥田英朗 作品の感想は関連記事をご覧く下さい。