2019年7月15日 / 最終更新日 : 2020年10月28日 レペ 国内小説 【本の感想】古川日出男『アラビアの夜の種族』 書物の、書物による、書物のための物語です。翻訳小説という体裁を取りながら、著者らしいリズムを保った美しい日本語で彩られた奇書の幕開けです。夜ごと語られた百物語の結末は!読了した時に初めて本作品がミステリとして楽しめるものだと気付くのです。
2019年6月25日 / 最終更新日 : 2020年8月5日 レペ 評論 【本の感想】権田萬治『日本探偵作家論』 蔵書家のコレクションを参照しながらとはいえ、膨大な作品を読み込まなければ著すことのできない評論であり、大変な労作になっています。現存する資料の希少性からも探偵小説を概観できる本書は偉業といってもよいでしょう。
2019年4月1日 / 最終更新日 : 2020年8月18日 レペ 国内小説 【本の感想】伊坂幸太郎『死神の精度』 ミュージックが好きで渋滞が嫌いな雨男、否、雨死神が、死を裁定する物語です。あらすじからは、人の生に寄り添う善意といった、ありがちな展開を予想してしまいますが、そんな甘ったるさはありません。千葉と名乗る死神は至ってクールに生と死を見つめていくのです。