監禁もののサスペンスです。この手の作品の面白さは、主人公がどのようにそこから脱出するか、もしくは助け出されるかにかかってます。未消化な部分も見受けれれますが、スリリングさは堪能できるでしょう。
【本の感想】シャーロット・アームストロング『疑われざる者』
婚約者ロザリーンを失った、退役軍人のフランシス。フランシスは、おばのジェーンの口から、ロザリーンが殺害されたことを示唆されます。犯人は、ロザリーンの雇い主グランディスンだと言います。彼は、人々から尊敬を集める名士でした。フランシスは、グランディスンの正体を探るべく、彼の庇護者であり、海難事故で行方不明となっているマチルダの夫として名乗り出ます。ところが、マチルダは生きていのでした・・・
シャーロット・アームストロング(Charlotte Armstrong)『疑われざる者』(The Unsuspected)(1946年)は、著者お得意(?)の心理サスペンスです。
登場人物がとんでもない行動に出るのは、作者のその後の作品にちょくちょく見られるパターンです。本作品では、フランシスが、マチルダに強引に結婚したという偽の事実を押しつけようとするところ。ばればれ、ありえませ〜んと言いたいのですが、まぁ、辻褄が合うようにそこそこ揺れる女心が描けています(ような気がする)。
ストーリーは、ハラハラドキドキを期待すると、退屈を感じざるを得ません。マチルダが、行方不明のフランシスを捜索するあたりから多少盛り上がりはしますが、そうであっても評価は、可もなく不可もなくです。これ以上の長編だったらめげていたでしょう。じっくり腰を据えて、心理描写を楽しむべき作品なのかもしれません。
グランディスンが、人間心理に巧みな悪役というコンセプトは良いとして、名士と言われるほど魅力的には読み取れないんだよな・・・
とにかく日本語訳が読み難くくて、しばしば苦痛になりました。新訳が良いのではないかなぁ?まぁ、復刊することはないか・・・
本作品が原作の、1947年 公開 ジョアン・コールフィールド、クロード・レインズ 出演 映画『トゥル―・クライム殺人事件』はこちら。
(*)読了したのはハヤカワ・ポケット・ミステリの翻訳版『疑われざる者』で、書影は原著のものを載せています。
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