【本の感想】内藤誼人『タモリさんに学ぶ「人生の後半」を生きるコツ』
タモリさんは、1945年8月22日生まれで、2020年現在、74歳。テレビで拝見する限り、ゆるゆるというか、しなやかというか、天衣無縫なタレントです。記憶をたどると、『金曜10時!噂のチャンネル!!』で、キワモノっぽい芸風から視聴者に顰蹙を買っていはず。ところが、今や、誰もがご存知の大御所ビッグスリーとして盤石な地位を築いていらっしゃる。
自分は、年齢的に折り返し地点を過ぎてから、先々のことを考えるようになりました。もう何年かで孔子曰く、耳順(みみしたがう)ですが、まだまだそんな境地には達せません。今後の生き方を定めるにあたっては、迷いの中・・・
内藤誼人『タモリさんに学ぶ「人生の後半」を生きるコツ』は、そんな自分の心の内を知ってか、知らずか、退職された先輩より贈られた本。心理学者である著者が、タモリさんの言動、行動を観察し、生きるコツを導き出そうとするものです。
本書を読んでいても、タモリさんと直接対話したのかは判然としませんが、そうでなくとも記載されている内容は正鵠を得ているように思います。あぁ、タモリさんてこう考えるんだろうなぁ、という印象だけでなのですが。本書の内容は、全面的に自分の人生観と合致するわけではありません。ここは譲れないというポイントは、誰でも持っているでしょう(だから耳順は無理だっていうよね?)。自分と近しい考え方に、ちょっと寄り添ってみるぐらいが、本書の読み方としては正解かもしれませんね。
いくつか共感したものを、抜き出してみましょう。
■ストレスフリー
- 『できない』ことも『できる』と、思い込んで、努力に努力を重ねている人は、人生と時間を浪費しているだけではないか。
- できないことにしがみつくのは努力の方向を間違えている。
『できない』ことが分かるのは、ある程度、歳をとならきゃいけません。自分は後輩には、『できない』という否定から入るな、と良く言ってました。でもねぇ、『できない』ものは、やっぱり『できない』のです。無駄な努力を随分したし、させてしまったなぁ・・・
■人間関係
- 自分以外の人に期待をかけない
- 謎めいていればいるほど、人はあなたに興味を持つ
- 気を遣うのを悟られたら二流、三流
- 同じくことをやってるとソッポ向かれる
そもそも自分は、他人に期待をかけていないので、ここはまるっと共感します。謎めいた人は、自分がそういう人に惹かれるので、これも分かります。ただ、ティーザー法でチラ見せ効果を狙うのは、難しいですね。謎めいているフリは、そう易々とできるものではありません。バレたら恥ずかしいし・・・。その他も、自分がその人を見た時に、を考えればおっしゃる通りとなります。
■自己コントロール
- 悩むのは、時間も体力ももったいない
- いたずらに反省しようとすると、ガッカリしてやる気を失う
- 余裕たっぷりなのは、『すべてにたかをくくってる』から
- 成功者はほぼ例外なく行動派の人間
悩むな、というのが悩みになってしまいますね・・・。自分は反省をあまりしないのですが、それは落ち込んで体力を消耗してしまうから。上司は、さぞ扱い難かったでしょう。たかをくくるというのは、高度なマインドです。大いなる勘違いヤローなのかもしれないし。行動する人間が成功するのは同意です。自分も行動しているつもりですが、成功していないのは行動が足りないんでしょうね。残念・・・
■仕事術
- 成功したいなら人と違うことをする
- 安売りはしない
- どんな仕事も、引き受けてから、やり方を考える
人と違うことというのは、なかなか見つけ難いものです。なので、安売りにはしっちゃう。安売りするな、は良く言われますが、世の中の大半は低価競争に突っ込んでいっているように思えます。高値をつけて、仕事を引き受けてから、やり方を考えれば、プレッシャーが功を奏するのか・・・。そういう勢いが出せるかどうか、でしょうか。人生の後半でも、血気盛んです。
さて、この本をくれた先輩は元気でしょうか。しなやかな生き方がすごくお似合いな方です。