【本の感想】町田健『絵で見る「もの」の数え方』

町田健『絵で見る「もの」の数え方』

おっさんも極まってくると、唐突に雑学への欲求が高まる時があります。

クイズ番組で、ごくごくたまに出題される助数詞は、いつかは克服したい類の雑学です。何故、うさぎは一羽、二羽で数えるの?という、生きていく上で、知らなくても支障のないものですね。

そんな雑学本、探してみれば見つかるものです。町田健『絵で見る「もの」の数え方』は、そんな助数詞が知りたいアナタにぴったりの書籍。様々な助数詞を、その成り立ちからイラストとともに紹介しています。著者は名古屋大学名誉教授で、その昔、教養バラエティー番組『タモリのジャポニカロゴス』に出演されておりました。

本書を読んでいると、ひとつのものを表すのにいくつかのバリエーションがあったり、その表し方そのものに曰くがあったりと楽しくなります。

鳥居や、釣鐘のように、それを数えるという場面が想像できないものも多いのですが、定置網のように、それ自体の名称が判然としなかったのもありと為になります。

涙を雅語的に数えると「一掬(ひときく)」。美しいですね。

なんでも”個”や”つ”ではなく、日本語の美意識を継承していくべきなのでしょう。

発見だったのは、神仏を「基」と数えたり、人間より大きい小さいで「頭」「匹」に(原則)分けること(貴重なものも「頭」と数える)。なんと、匹は馬のケツからきてるそうです。

本書は、雑学としてさりげなく披露するばかりでなく、文章を書くおりおりに、参照する辞書的な使い方もよいのかもしれません。ただ、イラストはもう少しゆるい方が好みかなぁ。

本書は、以下の章立てです。

知っているようで、知らない数え方/手に取ることのできないものの数え方/日本の伝統文化ならではの数え方/同じものでも、形や大きさで変わる/同じものでも、場所によって変わる/分けていくと数え方が変わる/数え方が変化するもの/ものの数で数え方が変わる/生き物の数え方/ありえないものの数え方

章末の、コラム、例えば、数え歌などは、助数詞の洪水に飲み込まれそうになったときに、ホッと一息つけます。