【本の感想】平井和正『狼の紋章』

本の感想 平井和正『狼の紋章』

1970年~1971年にかけて、「週刊ぼくらマガジン」に平井和正原作、坂口尚画『狼の紋章』が連載されていました。小学生の頃の自分は、その暴力的な内容に衝撃を受け悪夢にうなされたものでした。

その後、平井和正がノベライズした作品が『狼の紋章』です。活字の方を手に取ったのが中学生の頃でしたが、より暴力的でエロチックな内容だったため、思春期の男子には刺激が強かったように記憶しています。

本作品は、人狼=ウルフガイ 犬神明の活躍を描く学園バイオレンスアクションで、ウルフガイシリーズの第1作目です。物語は、満月の夜不死となる犬神明が、暴力渦巻く博徳学園(通称、悪徳学園)へ転入するところから始まります。泰然自若とした明は、不良たちの格好の標的。どのような仕打ちにも屈しない明に、学園を牛耳る羽黒獰がついに牙を剥くという展開です。

孤高のヒーロー 犬神明 V.S. 極悪非道の暗黒社会の御曹司 羽黒獰が本作品のメインストーリーで、その闘いがハードボイルドタッチに描かれていきます。美人教師 青鹿晶子と明のもやっとラブラブな関係と、それを破滅させる羽黒の残忍な行為を経て、クライマックスの対決シーンが盛り上がります。ともに中学生というのは今更ながら驚きですが、ラストは魂がゆさぶられるほどの興奮を覚えました。

本作品によりマイ平井和正ブームが訪れ、『メガロポリスの虎』、『アンドロイドお雪』、『死霊狩り』(桑田次郎『デスハンター』の原作。傑作!)、『サイボーグ・ブルース』、『超革命的中学生集団』(挿絵は永井豪)等々、読みまくりです。

ウルフガイシリーズは、ハンフリー・ボガード似(確か)の成人済み犬神明が活躍する、アダルトウルフガイシリーズと、こちらのヤングウルフガイシリーズの系統があって、それぞれ別のシリーズです。羽黒獰との闘いでズタボロとなった犬神明のその後は、『狼の怨歌(レクイエム)』に引き継がれます(中国の特務機関員 虎4=フースーという魅力的なキャラが登場)。ただ、このあたりからCIAが絡んできたりとスケールがでかくなる傾向を示します。『狼の紋章』『狼の怨歌』でとどめておいた方が良いかもしれません。(著者の『幻魔大戦』は途中からついてけなくなったなぁ)

その後の展開はどうあれ、本作品は 日本SFの至宝の一冊に相違ありません。

こちらは、1973年公開 志垣太郎、松田優作出演『狼の紋章』です。志垣太郎が犬神明、松田優作が羽黒獰を演じています。変身後の人狼の姿は流石に時代を感じさせますが、デビュー作となる松田優作の凶悪さに目をひかれました。原作にほぼほぼ忠実です。公開当時は、まだお子ちゃまだったため、見られませんでした(両親に見たいと言えない淫靡さがあります)。

こちらは、本作品が原作の、坂口尚画『ウルフガイ 狼の紋章』です。漫画版は、『狼の怨歌』までが描かれていたはず。虫プロ出身なので、手塚治虫の絵を思い起こさせますね。

泉谷あゆみ画『ウルフガイ』

こちらは、ごく最近の漫画。泉谷あゆみ画『ウルフガイ』です。う~ん、グロテスク度が高まりました。

千葉真一主演『ウルフガイ 燃えろ狼男』

ちなみに、こちら1975年公開 千葉真一主演『ウルフガイ 燃えろ狼男』(タイトルが爆!)です。アダルトウルフガイですね。