【本の感想】平山夢明『DINER (ダイナー)』

平山夢明『ダイナー』

2009年 第28回 日本冒険小説協会大賞受賞作。
2011年 第13回 大藪春彦賞受賞作。

平山夢明『DINER(ダイナー)』は、愉快痛快奇々怪々な殺し屋たちが、次々と登場する物語です。

携帯サイトのバイト募集に釣られ、危ない金の強奪に加担したオオバカナコ(大場加奈子)。カナコは、すぐにとっ捕まって埋められることになってしまいます。

料理が得意と、必死のアピールで命乞いをするカナコ。殺される寸前に買い手が付いて、連れて行かれた先は、料理人ボンベロが取り仕切るダイナー「キャンティーン」です。

ここは、殺し屋専用の会員制ダイナー。

カナコは「キャンティーン」で、ウェイトレスとして働き始めます。

殺し屋たちの気分次第で、いつ命を奪われてもおかしくない立場のカナコ。先輩ウェイトレスたちは、既にあの世行き。胃袋が鳴ってしまう素敵な料理と酒。胃袋から酸っぱいものが上がってくる暴力。美と醜が渾然一体となった、悪党どもの宴が催されます。

非情の料理人ボンベロと、この世の地獄に叩き落されたカナコの絡みが面白いですね。ギリギリのところでボンベロの殺意をかわし、生き抜く術を身に付けていくカナコ。殺し殺されの緊張感を保ちながら、ボンベロとカナコは、微かに心を通わせていきます。

キャンティーンの扉が開く度に、異形異才の殺し屋が、どーんと現れます。まるでマカロニウエスタン。

殺し屋たちは、突然、沸騰しカナコの命を脅かすのですが、そのぶっとび方が尋常じゃありません。本作品は、ワケありの殺し屋たちのキレキレぶりも楽しいのです。

辛くも命をつなぐカナコ。しかし、殺し屋たちは、次から次へと「キャンティーン」を訪れます。

クライマックスは、まさにマカロニウエスタンさながらの、手に汗握る展開です。カナコとボンベロの最大のピンチ。どうなるカナコ、どうするボンベロ ・・・ と続きます。

毎度のことですが、著者の残酷描写は、読んでいて怖気を振るってしまうぐらいリアルな痛みを感じますね。

本作品が原作の、河合孝典画の漫画『ダイナー』はこちら。

河合孝典画の漫画『DINER(ダイナー)』

本作品が原作の、2019年公開 藤原竜也、玉城ティナ 出演 映画『DINER』はこちら。

2019年公開 藤原竜也、玉城ティナ 出演 映画『DINER』
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