【本の感想】アイラ・レヴィン『ステップフォードの妻たち』
最近は、妻のことを嫁と言っちゃいけないそうなのである。なんでも、姑が息子の伴侶に対して使うのが正解だとか。上から目線の匂いする?じゃあ、ママといったら、子供の母親のことだから間違いだよね。ただこれは、下から目線だからオッケーなのかしら・・・。難しい世の中だよ・・・
アイラ・レヴィン(Ira Levin)『ステップフォードの妻たち』(The Stepford Wives)は、ウーマンリブ(死語)全盛期の1972年(発表時)を背景とした、奇妙な物語です。
テップフォードに越してきた、ウォルターとジョアンナのエバハート夫妻。活動的な女性ジョアンナは、ステップフォードに住む主婦が、家事にしか興味がないことに違和感を覚えます・・・
本作品は、この頃の世相がわかってないと、世界観がチンプンカンプンかもしれませんね。殊更に女性の権利を主張し過ぎる自体が、奇妙に映ります。ウーマンリブへのアンチテーゼという大袈裟なものではないとしても、ステップフォードに暮らす妻たちには、著者を含めた当時の男性の願望を反映したものと見るべきでしょうか。
そういう意味では、本作品は、御伽噺なのでしょう。
主婦たちが4ヶ月毎に、ステレオタイプな模範的主婦へ変貌していくというワンアイディアを貫き通しています。その割に”どうやって?”、というのが弱いんですよねぇ。御伽噺と割り切ってしまえば、細かいことを抜きにして、楽しむことができるかもしれません。
ワンアイディアの作品としては、頁数は妥当でしょう。これ以上長いと、途中で投げ出したくなるかもしれません。終わり方が難しいタイプの作品ではあるのですが、無難なところに落ち着いちゃいましたね。
1975年 公開 キャサリン・ロス、ポーラ・プレンティス 出演 映画『ステップフォード・ワイフ』はこちら。
2004年 公開 ニコール・キッドマン、マシュー・ブロデリック 出演 映画『ステップフォード・ワイフ』はこちら。グラマラスな女性たちが極彩色の出で立ちで登場する、コメディ仕立ての中身のあまりない映画でした。
冒頭に戻ると、自分は、女性の賢さを認めてるし、権利は大いに尊重する派なのだけど、なにより心穏やかにがモットーなので、言葉の使い方でピリピリせんで欲しいよなぁ、と思います。