【本の感想】デイヴィット・L・ リンジー 『噛みついた女』
1987年 週刊文春ミステリーベスト10 海外部門 第10位。
デイヴィット・L・ リンジー(David L. Lindsey) 『噛みついた女』(A Cold Mind)は、ヒューストン警察 スチュアート・ヘイドン シリーズ第1弾です。
高級コールガールが連続して不審死を遂げました。ヘイドン刑事らヒューストン警察殺人課は、彼女らのつながりを調べるうちに、事件性を疑い殺人事件として捜査を始めます・・・
本作品は、警察小説としては、なんということもありません。ジャンルで言うと所謂、サイコパスものです。30年以上前の作品を、今読んでも際立った何かがあるわけではありません。つまらなくはないけれど、特別、面白くもないというのが正直な感想かなぁ。
刑事たちが地味な捜査を重ねて、狂犬病のウィルスを使った殺人犯と、ブラジルからの不法入国者による売春組織を暴くというストーリー展開です。途中で犯人は明らかになるので、捜査の過程を楽しむというのが正解でしょう。
主役のヘイドンは、時たま精神的に不安定な状態に陥ります。犯人の異常さに、人間としての暗い部分を見て煩悶していくのです。特徴的といえば、この影のある主人公の、キャラクター設定でしょうか。
ヘイドンの相棒レオや、監察医のヴァンストラーテン、風紀課のムーニーなど、主要キャラクターは魅力的ではあると思います。シリーズを読み進めていくと、彼らに愛着を持つのかもしれません。ヘイドンの妻ニーナとの行く末も(多少)気になるところです。
ただ、本作品だけで、読み続けたいと思わせる力があるかというと疑問ではありますね。加えて、日本語タイトルはイマイチです。
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