【本の感想】スペンサー・ジョンソン『チーズはどこへ消えた?』

スペンサー・ジョンソン『チーズはどこへ消えた?』

最近、副業についてお若いコンサルと意見交換した時に、50代以降の大企業にお勤めの方はチャレンジ精神をお持ちではないと聞きました。企業は絶対に潰れることはないし、リストラがあって対象にはならない、という根拠レスな自信があるようだとか。いやいや、自信があるのではなく、見たくないものを見ないようにしているだけなのだよ・・・

一方、デキる若手は、野心満々でジョブホッピングしちゃうので、エルダー社員とのモチベーションの違いは広がるばかり。実際のところ、コミュニケーションは会社の職位・職制に応じて成り立っているだけで、それを離れたら成立しっこないのです。

スペンサー・ジョンソン(Spencer Johnson)『チーズはどこへ消えた?』(Who Moved My Cheese?)(1998年)は、チャレンジすることをテーマにした自己啓発本です。世界中で売れに売れているベストセラー、そしてロングセラーなので、読まずとも内容は知っていました。これ以降、本書のような寓話的なスタイルのものが乱発されたように思います。

ストーリーはいたってシンプルです。ネズミのスニフとスカリー、小人のヘムとホーの二匹と二人が、迷路の中で無くなったチーズを前に、どのような行動をとったかが語られています。二匹と二人のペルソナは、次のアクションをどうおこすか類型化されていて、読者に対して「あなただったら?」を投げかけてきます。そもそもチーズって何ですか?は、読者にとって無くてはならないものを象徴しているので、如何様にも考えられます。そこが、本書のウリですね。

例えば、仕事が突然なくなってしまったら、スニフのように前兆を感じて準備をする、スカリーのようにすぐ行動に移す、ヘムのように変化に対応しない、ホーのように流れに身を任す、どれを選択しましすか?と、本書を置き換えて読むことができるのです。ただし、無理矢理4っつのペルソナに分類しなくても、混合型もオッケーだよねとは、思います。

チャレンジを前提とするなら、どれを選べば良いかは自明です。ただ、チャレンジしない人が、他人事として一般論で語ってしまうと意味はありません。色々な立場の方々と、本書を題材にディスカッションしなければ、気付きは得られないでしょう。一人で楽しむ書籍ではなく、皆とアウトプットするための書籍なのです。「おめーチャレンジしてねーじゃん」って言われるのを想像し、「やっぱ、ヘムかなぁ」と自分自身と向き合うことができます。若手とエルダー社員のコミュニケーションに寄与するかもしれません。

自分は、内容を知っていたからか、あまり受け取れるメッセージはありませんでした。共感したものを以下に抜き出しておきましょう。

物事を簡潔に捉え、柔軟な態度で、すばやく動くこと。問題を複雑にしすぎないこと。恐ろしいことばかり考えて我を失ってはいけない。小さな変化に気づくこと。そうすれば、やがて訪れる大きな変化にうまく備えることができる

ふるまいが変わらなければ、結果も変わらない

これは!というインパクトはないですねぇ。