【本の感想】エーリッヒ・フロム『愛するということ』

本の感想 エーリッヒ・フロム『愛するということ』

エーリッヒ・フロム(Erich Seligmann Fromm)『愛するということ』(Die Kunst des Liebens)は、愛は技術であるので、学習が必要であると説き、愛の論理と愛の実践について論を展開していきます。

そもそも、人の実存は他からばらばらに分離されたものであるから、人には、これを克服したいという欲求がある。これは、愛による他との融合=合一をもって成就するのだと、と述べます。ここで興味深いのは、現代資本主義の個性を失った平等との違いです。これは合一ではなく同一を意味するとしています。確かに、画一的であることが、孤独を癒すことにはならないことは理解できます。支配や所有ではなく、あるがままひとつになるというのは、人の本質としての理想なのかもしれません。

自分個人についていえば、愛を意思の行為ととらえ、活動的に与え、生命を他にゆだねる決断の行為とするのは、対象を限定すると可能とは思います。が、他を愛するといえるなら、他を通し世界を愛し、自分自身を愛するといえなければならない、となるとかなりハードルが高いですね。 

愛の実践の中では、謙虚と客観性、理性の発達の必要性が述べられます。また、人間の存在の条件として、自分自身の愛を信頼し、他の中に愛を生ずる能力への信念をあげています。う~む。まったくできていない自分に気づきます。

最後に著者は、我々の全社会的および経済的組織が各人の利益の追求にもとづいており、資本主義の原理と愛の原理は相容れないとの認識を示します。震災以降の日本では、著者のいう愛の実践を報道として目にすることがあります。このようなときこそ、愛による他との合一人によって、困難を乗り切っていくすべが人には残されているのでしょう。こんな現代だからこそ、心に響く本でした。

神への愛は、頭で理解はできても、いまいちピンとこないんですよねぇ。