【本の感想】湊かなえ『贖罪』

本 感想 湊かなえ『贖罪』

空気がきれいだけが取り柄の、田舎町で発生した女子児童殺人事件。一緒に遊んでいて犯人を目撃した4人の小学生 紗英、真紀、晶子、由佳は、被害者エミリの母親から、「償いができなければあなたたちに復讐する」と激しい言葉をあびせられます。

15年後、彼女たちは、それぞれに事件の後遺症、そして母親の憎悪を引きずっているのでした。

湊かなえ『贖罪』は、過去の殺人事件にとらわれ、そして何かに憑かれたように罪を犯してしまう人々が描かれています。

章をわけて、紗英、真紀、晶子、由佳、そしてエミリの母親のモノローグで事件の周辺、その後の彼女たちの運命が浮彫りになっていきます。結婚し海外へ渡った紗英、教師となった真紀、引きこもりの晶子、不倫の子を宿した由佳。

事件発生当時、それぞれの思惑、事情で、犯人を特定することを拒んでしまった4人。ばらまかれて大小様々な憎悪のかけらが、彼女たちの人生に重くのしかかってくるというプロットです。

善意さえも悪意に変換されてしまう、ひとの厭らしさに、読んでいて不快感をつのらせてしまうわけですが、そこは著者の力量ゆえなのでしょう。登場人物たちのモノローグは、それぞれに衝撃的な内容なのだけれども、点と点をつないで大きく太い線に練り上げていく手腕は、(好き嫌いは別として)感嘆せざるを得ません。

本作品が原作の、2012年 WOWOWで放送された、小泉今日子主演『贖罪』はこちら。

テレビドラマ「贖罪」
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