【本の感想】佐々木圭一『伝え方が9割』

佐々木圭一『伝え方が9割』

2014年 ビジネス書大賞 書店賞受賞作。

佐々木圭一『伝え方が9割』は、「伝え方」をキーワードに、相手に”YES”と言わせるテクニックと事例が満載の自己啓発本です。

「伝える」と「伝わる」は違うんだ!、というコミュニケーション本はよくお目にかかりますが、本書は、「伝え方」に力点が置かれています(いや、「伝わる」「伝え方」かな)。

本書を読むと、なる程!、とはなるでしょう。しかしながら、瞬発力を要するコミュニケーションにおいては、そもそもセンスがいるよなぁとも思います。本書を読んで、即、実行が出来るか、というと甚だ疑問です(その気には、なるのですよ)。

著者の主張に対しては、共感、反感(というか抵抗感)と、様々な感情が湧き起こります。いくつか抜き出してみましょう。

「ノー」を「イエス」に変える技術の答えは、相手の中にあります。「お願い」は、あなたのコトバではなく、あなたと相手の共作なのです。

【共感ポイント】
これは、名言ですね。”共作”というワードにビビっときました。”慮る”と言うと始めから負けている感じがします。”共作”は、立ち位置が相手とフラットであるという意識を持つことができます。

サプライズワードを、自分が驚いたときではなく、相手の心を動かしたいときに使う。

【共感ポイント】
CMでお馴染みの、「小林製薬」を「あ、小林製薬」と表現する例で説明されています。なるほど。セオリーがあったんですね。この文字だけでCMを思い起こせるということは、心が動いている証拠です。ここを読んで、CMがやたらと耳に入るようになりました。

料理本のレシピのように、その手順どおりにつくれば、プロに近い味が出せるコトバの作り方です。

【反感(抵抗感)ポイント】
料理をレシピ通り作るにも、基礎が必要です。誰にでも、というのが引っかかってしまうのです。

赤裸裸ワードを入れれば、生命力あふれるコトバに変わる。

【反感(抵抗感)ポイント】
「のどがカラカラ、感動の映画でした」の例示で説明されています。口に出すのは、ちょっと、恥ずかしい・・・。

人を動かすのはルールではない。感動だ 。

【反感(抵抗感)ポイント】
うーん。名言だけれど、もの凄く恥ずかしい・・・。恥ずかしがっているようでは、Yesを引き出すのは難しいのでしょうけど。スタートアップの方は、感動を口に出すのが上手ですが、自分は、ワクワクします!って、言えない世代なのです。

法則に従うだけで、相手の心を動かせるのは魅力的ではあります。一番大事なのは、伝える方のモチベーションでしょう。いやいや、実践の技としてどうだろう?と(自分のように)疑問を投げかける読者にとっては、少なくとも文章を書く上での参考として、本書を活用することはできます。本の作り方として、巧いのです。

まんが版 佐々木圭一『伝え方が9割』はこちら。

まんが版 佐々木圭一『伝え方が9割』

果たして、まんがで、伝わるのかなぁ・・・。自己啓発本は、活字でしょ!派としては、まんが版が出ると残念な気持ちになってしまうのですよ。