【本の感想】オリヴァー・ガスマン 、カロリン・フランケンバーガー 『ビジネスモデル・ナビゲーター』

オリヴァー・ガスマン 、カロリン・フランケンバーガー 『ビジネスモデル・ナビゲーター』

どこの会社も同じだと思いますが、「イノベーションを起こせ!」の強いメッセージが経営層から発せられるようになりました。イノベーションという言葉そのものが、バズワード化してしまって、口にするのが恥ずかしい今日この頃です。

「だいたい、あんたらイノベーション起こしたことあるん?」って思っても言っちゃいけない反論(というか反感)がムクムクと湧き起こっちゃいますよね。フツーに勤め人人生を送ってきた人たちにとっては酷です。「ほうら、ほうら、トンがって!」と笛を吹いたところで、踊れません。

オリヴァー・ガスマン(Oliver Gassmann)、カロリン・フランケンバーガー(Karolin Frankenberger)『ビジネスモデル・ナビゲーター』(The Business Model Navigator)は、企業の競争優位性は、製品やプロセスの革新性ではなくビジネスモデルの革新性に依存する、と述べ、タイトル通りイノベーションをナビゲートするものです。

ビジネスモデルは55に集約されるという大胆な主張で、新しいビジネスをつくる際は、ここに記載のモデルを基にしたり、組み合わせたりでできるように考えられています。多くのイノベーション本を読み漁り、雲を掴むどころか、暗雲しか立ち込めない方々には、雲の切れ間から光が射す (♪) かもしれません。

なぜなら、55の既存のモデルを組み合わせてビジネスモデルをつくるだけで良いのですから・・・。なんで55?というのは、似たようなモデルもあってちょっと疑問です。音楽についてメロディーパターンは有限か?という議論があるように、ビジネスモデルのパターンも有限なのかもしれませんね。

本書の前半は、ビジネスモデルイノベーションのフレームワークと組織として取り組むべき姿勢等が述べられており、後半は、例えばクラウドファンディングやロングテールといったお馴染みのものから、お初にお目にかかるものまでテーマ毎に実例やそもそもの起源が詳細に記載されています。ビジネスモデルが先にあるわけではなく、成功したビジネスモデルのパターンとしての枠組みを与えたんですね。56番目の実例をつくると、ステキなパターン名が付与されるかもしれません。

実に興味深い内容ではあるのですが、長時間読んでいると眠くなるのが難(自分が悪いのか)です。

本書にパターンカードがついたセットも販売されています。商売上手ですね。

本の感想 オリヴァー・ガスマン 『ビジネスモデル・ナビゲーター』 【書籍+55パターンカード】セット