【本の感想】ジェイン・アン・クレンツ『ガラスのかけらたち』
どうやら世の中には、ロマンティックミステリなるものがあるらしい。定義は?というと、判然としないのですが、男女の恋愛をストーリーの軸として展開するミステリでしょうか(多分)
母親から貰った、ジェイン・アン・クレンツ(Jayne Ann Krentz )『ガラスのかけらたち』(Sharp Edges)(1998年)もロマンティックミステリです。
母親は、結構面白かったようですが、自分は、正直、苦手なジャンル。女性は、いくつになってもロマンチックなんだよなぁ。
リーブルックガラス博物館の館長ユージニアは、変死した富豪のガラスコレクションを譲り受けるために、シアトルに浮かぶ離島へ向います。同行するのは、ユージニアの上司から依頼を受けた、私立探偵サイラス。キャリアウーマンのユージニアは、アロハシャツ姿の不遜なサイラスが初対面から気に入りません。ユージニアは、時を同じくして失踪した親友を探すため、サイラスは、妻を死に追いやった男の手がかりを見つけるため、不承不承、協力することにするのでした・・・
ここまでで想像がつく通り、出会いは最悪な二人が、事件に巻き込まれていく中、恋に落ちてしまうというストーリー展開です。
二人のそりの合わなさが、徐々に雪解けしていく様は、なかなか面白くはありますね。自己主張のぶつかり合い(ユージニアがどちらかというとキツイ女性なのですが)で、理解を深めるのがきっと米国流なのでしょう。日本の甘茶恋愛小説よりは、湿度が少なくてココは良いですね。ただ、ストレートな肉食的愛情表現には辟易。行き着くところはそれか!っていう・・・。年齢的に草食系な自分としては、お腹いっぱいになってしまうのです。
ユージニアの親友はいずこ、そして、サイラスが追い求めるローマ時代の至宝「ハデスの杯」は。捜査を進めるに従って、ユージニアに身の危険が迫ります・・・
恋愛+殺人ミステリに加え、サイラスとまだ見ぬ父親との関係といったサイドストーリが絡み合って読み応えはあります。事件の結末はあっけなくて肩すかし気味なので、愛憎と癒しのドラマとして理解した方が良いかもしれません。
でも、暫くしたら本作品の内容は、きれいさっぱり忘れ去ってしまうだろうなぁ・・・