2019年5月2日 / 最終更新日 : 2020年9月9日 レペ 国内小説 【本の感想】吉田修一『横道世之介』 長崎から上京し、大学生活を送る横道世之介の一年間を描いた青春小説です。平々凡々で、大きな事件など起こりはしないけれど、忘れられない物語です。世之介と彼をを取り巻く人々のその二十年後が、所々で挿入されるという構成のなせるワザでしょうか。
2019年4月28日 / 最終更新日 : 2020年10月8日 レペ 国内小説 【本の感想】湊かなえ『告白』 娘を殺害された女教師から始まり、加害者の少年たち、そしてその周辺へと事件をなぞりながら”告白”が進みます。現実的かどうかは別としてラストはびっくりの仕掛けが用意されており、快哉を叫びたくなるような黒い気分がむくむくと湧き上がります。
2019年4月24日 / 最終更新日 : 2020年8月18日 レペ 海外小説 【本の感想】ルース・レンデル『ロウフィールド館の惨劇』 衝撃的な一文から幕を開ける 本作品。典型的な英国支配階級の人々が、ボタンの掛け違いから運命に絡めとられていく様が、じっくり描かれています。冒頭の一文で結末が明らかなのですが、それでもページを繰る手が休むことはありません。
2019年4月17日 / 最終更新日 : 2020年8月18日 レペ 国内小説 【本の感想】沼田まほかる『彼女がその名を知らない鳥たち』 イヤミスの真骨頂ここにアリ!ともいうべき作品です。女性の中で燻る嫌いな男性の描写が、戦慄を覚えるくらいに凄味があります。一つひとつの行動に嫌悪を積み重ね、沸騰していく描写にウンザリさせられるのですが、ここは著者の力量の証でしょう。
2019年4月15日 / 最終更新日 : 2020年9月1日 レペ 国内小説 【本の感想】乙一『暗いところで待ち合わせ』 視力を失った女性と、その家に逃げ込んだ殺人事件の容疑者が演じる無言劇です。孤独な二人が同じ空間を共有しながら、心を通わせていく様が感動を呼びます。意外な真実で幕を閉じますが、とても晴れやかな気分になるでしょう。白乙一派には感涙ものの逸品です。
2019年4月7日 / 最終更新日 : 2020年8月18日 レペ 海外小説 【本の感想】ジェフリー・ユージェニデス『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹 』 舞台は、1970年代ミシガン州の田舎町。リズボン家の5人の姉妹が自ら命をたつ1年間の物語です。20年後に、彼女らの友人が過去を振り返っていく筋立てになっています。不思議と深刻さが希薄で絵画的かつ寓話的な作品です。
2019年4月4日 / 最終更新日 : 2020年8月18日 レペ 国内小説 【本の感想】有川浩『植物図鑑』 突然の出会い、つのる思い、嫉妬、別離、そして・・・ という恋愛小説の王道フォーマットに則っています。「女の恋は上書き式、男の恋は保存式」(名言!)という さやかにとって、上書きできない恋の物語。めろめろメロウな甘茶ソウル的作品です。
2019年4月1日 / 最終更新日 : 2020年8月18日 レペ 国内小説 【本の感想】伊坂幸太郎『死神の精度』 ミュージックが好きで渋滞が嫌いな雨男、否、雨死神が、死を裁定する物語です。あらすじからは、人の生に寄り添う善意といった、ありがちな展開を予想してしまいますが、そんな甘ったるさはありません。千葉と名乗る死神は至ってクールに生と死を見つめていくのです。