2019年12月12日 / 最終更新日 : 2021年1月7日 レペ 国内小説 【本の感想】横山秀夫『動機』 D県警シリーズの第二短編集です。鬱屈し切羽詰まった心理状態の人々が織り成す物語は、決して読後感が良いわけではありません。けれど、彼らの人生それからを思うと、感慨は一入です。全四編に通底するテーマは、自分自身を見つめ直すということでしょう。
2019年10月21日 / 最終更新日 : 2020年9月9日 レペ 海外小説 【本の感想】フィリップ・カー『偽りの街』 ナチス台頭が著しい1936年ドイツを舞台にしたハードボイルドです。ナチスの力が強力になってきている世情を背景としているため、本作品は、他のハードボイルドとは異なる緊張感を保っています。読み手に恐怖心や閉塞感を痛いほどに印象付けるのです。
2019年10月6日 / 最終更新日 : 2021年1月13日 レペ 国内小説 【本の感想】横山秀夫『クライマーズ・ハイ』 日本航空123便墜落事故報道の舞台裏を描いた作品です。元新聞記者の著者だからこそ、報道に対する真摯な熱意が伝わる、臨場感たっぷりの人間ドラマに仕上がっています。主人公の家庭の問題等、縦糸横糸ががっちり絡み合った、胸を打つ重厚な作品です。
2019年7月19日 / 最終更新日 : 2020年9月23日 レペ 海外小説 【本の感想】セオドア・ローザック『フリッカー、あるいは映画の魔』 一人の青年の数奇な運命を描いた単純な物語です。しかし、それに肉付けされる哲学的とも、宗教的ともいえる虚実織り交ぜた巧緻な描写に、翻弄されることしきり。手に取ったなら、最後まで読み通して欲しい逸品です。満足感は大でしょう。
2019年7月14日 / 最終更新日 : 2020年11月19日 レペ 国内小説 【本の感想】舞城王太郎『ディスコ探偵水曜日』 まい子専門の探偵ディスコ・ウェンズデイが主役の、奇妙奇天烈な物語です。文庫上中下巻と分量からして読む前から覚悟が必要な作品。そして読み進めながらも、途中で挫折しそうな気持を奮い立たせていく読書アスリート的な心構えが必要な作品です。
2019年6月28日 / 最終更新日 : 2021年1月13日 レペ 国内小説 【本の感想】横山秀夫『64 (ロクヨン)』 いくつも張り巡らされた伏線が、ラスト、一気に回収されていく爽快感を味わえる上質のミステリ・・・なわけですが、しかし、本作品は質量(?)が違います。こんな顛末でした、だけじゃ終わらない重量感があるのです。
2019年6月1日 / 最終更新日 : 2020年8月31日 レペ 国内小説 【本の感想】貴志祐介『悪の教典』 生徒たちに絶大な人気物の英語教師はサイコパスだった、というお話しです。惨さ極まれりですが、リアルさが欠如してるせいか、抵抗なく読み進められます。生徒たちの反撃に対して、excellent!の感嘆がでると、笑えたりするのです。
2019年5月25日 / 最終更新日 : 2020年8月31日 レペ 国内小説 【本の感想】高野和明『ジェノサイド』 人類の未来をテーマにした冒険小説です。驚くべきは著者の圧倒的な知識量。疑いを差し挟む余地のないほどのたたみ込みに平伏してしまいました。二つの並行する物語はピンチピンチの連続で、クライマックスではおもわず溜息がもれてしまいます。
2019年5月18日 / 最終更新日 : 2021年1月13日 レペ 国内小説 【本の感想】横山秀夫『震度0』 (悪い意味ではなく)イラつく警察小説です。本作品は登場人物たちの嫌らしさが渦巻いていて、物語に入り込むと抜け出せなくります。端的に言うと厭な奴らしかいません。だから、イラつかせるのです。リアルな不快感が、本作品に読み応えを与えています。
2019年4月28日 / 最終更新日 : 2020年10月8日 レペ 国内小説 【本の感想】湊かなえ『告白』 娘を殺害された女教師から始まり、加害者の少年たち、そしてその周辺へと事件をなぞりながら”告白”が進みます。現実的かどうかは別としてラストはびっくりの仕掛けが用意されており、快哉を叫びたくなるような黒い気分がむくむくと湧き上がります。