2020年12月7日 / 最終更新日 : 2020年12月3日 レペ 国内小説 【本の感想】戸川昌子『大いなる幻影』 まさに読者をも幻影に包み込むミステリです。絶望のうちに妄執に取り憑かれた独身老女たちの描写が、素晴らしいですね都合良すぎなところも感じてしまうけれど、どんでん返しは成功しています。読みに難い点はありますが、それを差し引いても傑作と言って良いでしょう。
2020年12月4日 / 最終更新日 : 2020年12月3日 レペ 国内小説 【本の感想】佐賀潜『華やかな死体』 若き検事の姿を描いたミステリです。弁護士でもある著者自身のキャリアを生かした法廷物で、さすがに臨場感がたっぷり。検事四年目の主人公と、法廷戦術に長けた弁護士の攻防戦が見所です。法廷劇が好きな方にはおススメできます。
2020年11月7日 / 最終更新日 : 2020年11月5日 レペ 国内小説 【本の感想】福井晴敏『Twelve Y.O.』 日米間に繰り広げられる謀略戦を描いた冒険小説です。テイストは、デビュー作『川の深さは』に似ていますが、スケールとアクションの派手さは本作品が上回りました。クライマックスからの怒涛の展開は無邪気に愉しめます。
2020年9月10日 / 最終更新日 : 2020年9月9日 レペ 国内小説 【本の感想】新章文子『危険な関係』 文学指向の強いミステリです。この手のミステリにありがちな強引さは見られないものの、反面、人物描写に力点を置いているゆえに事件の発生そのもののテンポが遅く感じます。しかしながら、些細な瑕疵は気にはならないほど小説としての完成度は高いのです。
2020年9月9日 / 最終更新日 : 2020年9月9日 レペ 国内小説 【本の感想】陳舜臣『枯草の根』 江戸川乱歩賞 選考委員たちが絶賛した著者のデビュー作。探偵 陶展文シリーズ第1弾です。当時の日本で暮らす華僑の生活や、習俗が巧に作品世界に取り込まれていてます。被害者の性癖をもとにアリバイを崩していく陶展文の観察眼が見所です!
2020年6月29日 / 最終更新日 : 2020年6月25日 レペ 国内小説 【本の感想】西東登『蟻の木の下で』 ひとつの死体発見が時空を超えた因縁話へと広がりを見せるミステリです。「蟻の木の下で」というタイトルの意味こそ、事件の核心であるのは自明です。ところが、周辺にばら撒かれた事物を、殊更に掘り下げてしまったゆえに、読み難さを残してしまっているようです。
2020年6月28日 / 最終更新日 : 2020年6月25日 レペ 国内小説 【本の感想】藤村正太『孤独なアスファルト』 地方出身者の孤独を描いたミステリです。空のない街で夢を追いかけた若者の苦渋が滲み出ています。残念ながら、今となっては、読者がある程度の年代ではないと、共感を覚えるのは難しいかもしれませんね。
2019年6月10日 / 最終更新日 : 2020年8月18日 レペ 国内小説 【本の感想】首藤瓜於『脳男』 学習によって感情を理解するという脳男。この主人公のキャラクター設定の妙こそが、本作品の見所でしょう。人が人たる所以は何であるか。著者の精神医療に関する造詣の深さがストーリーに厚味を与え、哲学的な感慨を深めてくれます。