2019年6月24日 / 最終更新日 : 2020年8月5日 レペ 国内小説 【本の感想】黒武洋『そして粛清の扉を』 中年女性教師が極悪高校生らを人質に立てこもり、生徒らの罪悪を暴きながら拳銃とナイフで血の粛清をおこなうというお話しです。現実感が甚だ乏しいのですが、この手の作品は、これくらいの無軌道ぶりがちょうど良いのかもしれませんね。
2019年6月23日 / 最終更新日 : 2020年8月21日 レペ 国内小説 【本の感想】阿部和重『インディヴィジュアル・プロジェクション』 映写技師の4ヶ月にわたる日記という体裁の作品です。次々に降りかかる暴力沙汰。その過程で主人公は自分と他人の区別がつなかくなっていきます。アイデンティティの崩壊は、フィリップ・K・ディックの諸作品を思い起こします。
2019年6月20日 / 最終更新日 : 2020年10月28日 レペ 国内小説 【本の感想】古川日出男『二〇〇二年のスロウ・ボート』 村上春樹『中国行きスロウ・ボート』をサンプリングした作品だそうです。思わず頬が緩んでしまう著者独特の文学的表現が、とっても心地よいですね。、どこをサンプリングしているかを探す楽しみもあるので、原曲にも目を通しておいた方が良いでしょう。
2019年6月19日 / 最終更新日 : 2020年9月23日 レペ 国内小説 【本の感想】金原ひとみ『蛇にピアス』 身体改造に魅せられた女性の物語です。ピアスは鎧の表象のようなので内面に踏み込むものを恐れているのでしょう。他者との関係を絶っていかなければ、自身が壊されてしまう。そういう生き方しかできない不器用さを感じました。
2019年6月15日 / 最終更新日 : 2020年9月9日 レペ 国内小説 【本の感想】吉田修一『さよなら渓谷』 過去の悲惨な出来事から抜け出せない男女。赦されたいけれどそれは別れを意味する。赦したいけれど赦すと自分を見失ってしまう。 哀しみや憎しみから出発する愛もある。ひとつの愛のかたちとして受け止めました。
2019年6月13日 / 最終更新日 : 2020年8月31日 レペ 国内小説 【本の感想】川上未映子『乳と卵』 夏の数日が饒舌文体にて軽快に描かれた作品。日常の些細な一コマ一コマに、主人公の脳内を言葉が駆け巡ります。読み進めると、主人公の人となりが、会話の捉え方、ものの見方に察せられます。実に愉快です。
2019年6月12日 / 最終更新日 : 2020年10月28日 レペ 国内小説 【本の感想】辻村深月『島はぼくらと』 瀬戸内海の離島に暮らす、男女四人の高校生が主役の青春物語です。大人未満の彼らの、押しつけがましくない友情がリアル。びっくり仰天な展開はありませんが、退屈することなく読み進められるでしょう。まんまと(?)清々しさを感じてしまうのでした。
2019年6月10日 / 最終更新日 : 2020年8月18日 レペ 国内小説 【本の感想】首藤瓜於『脳男』 学習によって感情を理解するという脳男。この主人公のキャラクター設定の妙こそが、本作品の見所でしょう。人が人たる所以は何であるか。著者の精神医療に関する造詣の深さがストーリーに厚味を与え、哲学的な感慨を深めてくれます。
2019年6月8日 / 最終更新日 : 2020年9月15日 レペ 国内小説 【本の感想】佐藤友哉『デンデラ』 捨てられた老婆たちの物語です。登場人物は、皆、なんと平均年齢80歳強の老婆です。姥捨て山で生き残った彼女たちが、凍てつく雪景色の中で、闘いを繰り広げていきます。「戦闘老婆」の生き様を見よ!ラノベ感覚と、老婆たちのアクティヴさに魅了されます。
2019年6月7日 / 最終更新日 : 2020年12月29日 レペ 国内小説 【本の感想】平山夢明『DINER (ダイナー)』 殺し屋専用のダイナーで繰り広げられる奇妙奇天烈な物語です。美麗な料理と過激な暴力が渾然一体となり悪党どもの宴が催されます。異形異才の殺し屋たちのキレっぷりが楽しいですね。まるでマカロニウエスタンのような緊張感がたまりません。