2019年12月23日 / 最終更新日 : 2020年10月5日 レペ 国内小説 【本の感想】モブ・ノリオ『介護入門』 マリファナ片手に、祖母の自宅介護に熱意を傾ける<俺>の日々がつづられた作品です。ポップで攻撃的な文体で、一見おちゃらけてるのやら、怒ってるのやら、ただ毒づいているだけなのやら判然としませんが、自分自身への鬱屈したもどかしさを感じることができます。
2019年12月22日 / 最終更新日 : 2020年10月5日 レペ 国内小説 【本の感想】伊坂幸太郎『グラスホッパー』 亡き妻の復讐に執念を燃やす元教師と、三人の殺し屋が織りなす著者お得意(?)の群像劇。殺し屋たちはそれぞれに魅力的なんですが、物語のキーマン「押し屋」の正体が受入れられるかで本作品の評価が決まってしまいそう。
2019年12月21日 / 最終更新日 : 2022年4月2日 レペ 国内小説 【本の感想】横山秀夫『第三の時効』 事件を巡って、刑事たちの生き馬の目を抜くようなアツい鍔迫り合いが展開されます。焦りや苛立ち、嫉妬といった感情が、ストレートに伝わってきます。そういう中にも、凛とした男の矜持を垣間見せてくれるシーンがあるのです。
2019年12月20日 / 最終更新日 : 2021年1月13日 レペ 国内小説 【本の感想】横山秀夫『顔 FACE』 D県警の婦警を主役に据えた連作短編集です。信念を貫いたため組織から爪弾きにされてしまった20代の女性が描かれています。嫉妬、悔悟、混迷といった主人公の内省的な部分にスポットが当たっているのが、本短編集の特徴でしょうか。
2019年12月19日 / 最終更新日 : 2020年10月8日 レペ 国内小説 【本の感想】湊かなえ『リバース』 殺人の告発文で幕を開けます。読者は、早々に目星がつくでしょうから、驚きは大きくありません。 読み進めて いくと、きれいに収まってしまう予感に脱力しかけます。タイトルの意味だけが謎のまま。ところが著者は、ラスト一頁でやってくれるのです。
2019年12月18日 / 最終更新日 : 2020年10月5日 レペ 国内小説 【本の感想】皆川博子『光の廃墟』 1966年のイスラエルを舞台にした殺人ミステリです。登場人物それぞれの愛憎が複雑に絡み合って、事件は成り立っています。ピタゴラスイッチのように物事が動いていくのですが、ヒントはあるもののカラクリが分かるまで謎は解けません。
2019年12月16日 / 最終更新日 : 2020年10月5日 レペ 国内小説 【本の感想】絲山秋子『沖で待つ』 入社からの同期 男女二人の一風変わった友情物語です。男性の方の”太っちゃん”は、あの世の人。久々に再会した幽霊”太っちゃん”との想い出がほのぼのとつづられます。感傷を口にせず、温かい気持ちにさせる話の運び方が素晴らしいですね。
2019年12月15日 / 最終更新日 : 2020年8月31日 レペ 国内小説 【本の感想】吉村萬壱『バースト・ゾーン ― 爆裂地区』 異国のテロリストを殲滅せんと、戦闘員となった市井の人々が奏でるSFテイストの群像劇です。登場人物たちは、品性下劣ともいうべき輩。著者独特の筆致で、誰もが持っている根源的ない厭らしさを、ど直球で突きつけてきます。
2019年12月13日 / 最終更新日 : 2020年9月29日 レペ 国内小説 【本の感想】辺見庸『自動起床装置』 通信社の宿直者を時間通りに起床させる「起こし屋」と眠りにまつわる物語です。読み進めていくと、「起こし屋」の語る、眠り哲学というべきものに魅了されてしまいます。とくに、眠りの芯に神様が宿るという考え方は印象的です。
2019年12月12日 / 最終更新日 : 2021年1月7日 レペ 国内小説 【本の感想】横山秀夫『動機』 D県警シリーズの第二短編集です。鬱屈し切羽詰まった心理状態の人々が織り成す物語は、決して読後感が良いわけではありません。けれど、彼らの人生それからを思うと、感慨は一入です。全四編に通底するテーマは、自分自身を見つめ直すということでしょう。