2020年2月23日 / 最終更新日 : 2020年9月23日 レペ 国内小説 【本の感想】鳥羽亮『絆―山田浅右衛門斬日譚』 実在した死刑執行人 山田浅右衛門吉利が主役の連作短編集です。死に値する罪を犯した人々を中心に、物語がつづられていきます。吉利が彼らの人生に終止符を打つ時にみせる、慈愛、苦悩、怒りが胸に迫ります。
2020年2月21日 / 最終更新日 : 2020年11月19日 レペ 国内小説 【本の感想】舞城王太郎『熊の場所』 嫌なことにあえて立ち向かっちゃう小学生の男の子のお話。主人公まーくんがびびりながらチキンを脱却していこうとする過程が愉快で、拍手を送りたくなります。著者は脳内がめまぐるしくなっている状態を描くのが上手いですね。
2020年2月20日 / 最終更新日 : 2020年12月17日 レペ 国内小説 【本の感想】高嶋哲夫『イントゥルーダー』 ミステリというより人間ドラマとしてよく出来た作品です。昔の恋人から突然告げられた息子の存在。そしてその死。主人公は戸惑いつつも我が子の犯罪容疑を晴らすために奮闘します。原発問題に関して未来を予見したような結末には驚きです。
2020年2月19日 / 最終更新日 : 2020年10月19日 レペ 国内小説 【本の感想】青島幸男『人間万事塞翁が丙午』 戦時中の仕出し弁当屋を舞台とした人情ものです。21歳で嫁に入った主人公ハナの清く、正しく、美しく、逞しい人生がつづられていきます。物の無い時代であっても心はとても豊かですね。ちょっぴり元気がもらえる作品です。
2020年2月16日 / 最終更新日 : 2020年12月14日 レペ 国内小説 【本の感想】筒井康隆『魚籃観音記』 孫悟空と観音様の濡れ場をひたすら書きつづっています。宗教観の違う国なら大変な問題になっているでしょう。冒涜的ともいえる毒が著者の持ち味。もっとも、エロ表現の多彩さに笑ってしまうばかりで歓喜法悦には程遠いのですが。
2020年2月14日 / 最終更新日 : 2020年12月16日 レペ 国内小説 【本の感想】逢坂剛『斜影はるかな国』 スペイン内戦に身を投じた日本人義勇兵を追うミステリです。1936年と現在が錯綜しながら、物語は進みます。謎の殺し屋、隠された財宝、洞窟内での死闘という冒険小説の趣もあり、ラストの驚きの真相まで一気に読ませてくれます。
2020年2月12日 / 最終更新日 : 2020年8月17日 レペ 国内小説 【本の感想】花村萬月『皆月』 「みんな、月でした。がまんの限界です。さようなら」しょぼくれた40男が、新しい自分を発見していく物語です。中年版ビルドゥングスロマンというところでしょうか。定番の自己再生ものですが、ロードノベルでもあります。
2020年2月11日 / 最終更新日 : 2022年4月2日 レペ 国内小説 【本の感想】原田マハ『#9(ナンバーナイン)』 パッとしない女子が、ひとかどの男に見初められ、才能を開花させてしまうというシンデレラ・ストーリーです。ボーイ・ミーツ・ガールのありふれたラブストーリーとは違って、せつなさをきっちりと印象付ける重厚な仕上がりになっています。
2020年2月10日 / 最終更新日 : 2020年11月2日 レペ 国内小説 【本の感想】鮎川哲也『憎悪の化石』 鬼貫主任警部が主役のミステリです。本作品は、真犯人に辿り着くまでに二回のアリバイ崩しを行います。なかなかお目にかかれない趣向ではあるのですが、”足で訊く”捜査が十分に描かれておらず、物足りなさを感じてしまいます。
2020年2月8日 / 最終更新日 : 2020年12月8日 レペ 国内小説 【本の感想】志水辰夫『背いて故郷』 叙情的な作風で知られる著者だけに、登場人物の心情が精緻に描写されているミステリです。いわゆるシミタツ節。あざといセリフ回し、ストイックな生き方、必然性のない暴力沙汰は皆無です。ラストは最後の一撃。しかも、2度あっ!と言わせます。