【本の感想】樺沢紫苑『学びを結果に変えるアウトプット大全』

樺沢紫苑『学びを結果に変えるアウトプット大全』

皆が良い、面白いという本は、自分にとっても概ね、当たっています。それほど感性が平凡であり、知らない事が多いということで、嘆かわしい限り。ただ、例えば、芥川賞・直木賞等の文学書受賞作、ベストセラー、〇〇〇ベストテンを信じ、盲目的に読んでいれば、大きくアタリ、ハズレがないという便利な一面もあるのです(何らかのバイアスがかかっているのは否めませんが)。

ビジネス書は、読書会のテーマになるので、ここ何年かよく読むようになりました。本にマーカを引いたり、折り目をつけたりするのは、どうも性格的にできないので、気になる部分に付箋をペタペタ貼り付けて、これをもとに皆と議論をしたり、感想を書き起こすようにしています。とっても良い本に出合うと、付箋だらけで、見直しているうちにいつの間にか再読してしまうこともままあります。血肉にするには、アウトプットが大事!というのは、身に染みて理解しているので、この習慣(というか癖に近い)は、続けていくことでしょう。

アウトプットの試みの一環として、自分が開催している読書会では、「共感」、「反感」、「疑問」、「気づき」、「役立つこと」、「総評」に分けて、トークおよび意見交換をするようにしています。では、他の方がどういうアウトプットを心掛けているのか。ということで、樺沢紫苑『学びを結果に変えるアウトプット大全』を手に取りました。

本書は、精神科医である著者が、心理学や脳科学に言及しつつ、「話す」「書く」「行動する」によるアウトプットを、ノウハウとしてまとめたものです。インプットのあり方を含め、テーマ毎に見開きページで完結する体裁で解説を進めており、読み易くはあります。一見ボリュームがありそうな本ですが、時間をそれほどかけなくても、読了することはできるでしょう。

さて、自分のいつのも付箋は・・・というと、殆ど貼られていないじゃないですか!振返ってみれば、どこかで聞いたことがあって、自分にとっては、新しい発見がなかったわけです。アウトプットって何?に初めて触れるのであれば、目次を眺めているだけで書いていることが思い出されるし、効果はあるでしょう。

本書で一番に気に入らないのが、「この本、絶対売れるよね!」という自信満々な書きっぷりです。「私ってこんなに凄いんです」が、繰り返されるとムクムクと反抗心が湧き起こってきます。スタートアップのような前のめりな方々には、ウケがいいのかもしれせんが、著者の有能さは自画自賛ではなく、文章から匂い立つ経験なり思想なりで訴求して欲しいのです。読了すると、過度な自信は、それはそれで大切なのかも、とは思いはしましたが・・・

とは言え、いくつか興味を持った文章があったので、引用しておきましょう。これで、本書のアウトプットは、完成?

何を話すか」が言語的コミュニケーション。「どう話すか」が非言語的コミュニケーション。

質問は人を喜ばせるものである。

「ぼーっとした状態」「ぼんやりした状態」のとき、脳内では「デフォルトモード・ネットワーク」が活発に稼働しているのです。

「不勉強」だからこそ講師を引き受けるべき

日記を書くことによって、レジリエンス(ストレス耐性)が高まります。