【本の感想】西成活裕『東大の先生! 文系の私に超わかりやすく数学を教えてください!』

西成活裕『東大の先生!文系の私に超わかりやすく数学を教えてください!』

思い起こせば、自分が数学嫌いになったのは、中学1年生の初めてのテスト結果を見た時。かなり勉強して臨んだのだけれど、思いのほか点数が取れておらず、ガッカリが甚だしかったからです。完全解答が全滅しており、教師による答え合わせによると、完全解答を知らしめるための抜き打ちの措置だったとか。そんなのずるいじゃん!と授業を聞くのが嫌になってしまったのでした。

そもそも自分は、理系の人ではないので、これが言い訳になっているのは否めないのですが、数学嫌いの原因は?というと中学1年生まで戻ってしまいます。

この頃、仕事にAIが必ずといっていいほど関係してきて、ハッタリだけでは限界を感じています。やっぱり数学は避けては通れず、悶々としている最中、書店で目にしたのが西成活裕『東大の先生!文系の私に超わかりやすく数学を教えてください!』。裏表紙を見ると、

R16指定 中学生は決して読まないでください。5~6時間で中学数学が終わってしまう「禁断の書」ついに発刊!

とあります。どうやら巡り逢えたみたい・・・。

本書は、東京大学先端科学技術研究センター 西成活裕教授(以下、先生)が、物書きを生業とする文系人間 郷和貴を生徒として、最短で中学数学をレクチャーするというものです。会話形式でサラサラと読み進められます。この手の本は、最初易しくても、途中でページの都合からか、ぐっと内容が難しくなるのが常。ところが、本書はきっちり最後まで分かり易く教えてくれます。5~6時間で読了も、ウソではありません。

先生は、「頭のがいい」を「思考体力がある」としています。

①自己駆動力
②多段階思考力
③疑い力
④対局力
⑤場合分け力
⑥ジャンプ力

これらが何かは割愛するとして、皆が思う数学は何で必要なの?の一番最初の疑問の回答です。ここを明らかにすると、数学への向き合い方が違います。

次に、先生は中学のゴールを設定します。

代数 ⇒ 二次方程式
解析 ⇒ 二次関数
幾何 ⇒ ピタゴラスの定理と円周角と相似

なるほど、ゴールを設定せずに漫然と問題を解かされるのは数学嫌いを増やすだけ。ゴールを提示されるだけで、モチベーションが違います。

先生は、それぞれのテーマで、公式はどういう考えから導き出されたかを丁寧に説明しています。考え方が分かれば、公式を忘れた時に考え方され思い出せば良いのです。自分は、例えば、言われるがままに憶えていた「解の公式」が、どのように導き出されたかが、40年以上たってスッキリしました。考え方を忘れないとは限りませんが・・・

苦手な図形も面白く感じたし、「<特別授業>数学の最高峰「微分・積分」を体験してみる!!」で、やっと「微分・積分」って何さ!が自分の口で説明できるようになりました。

うちの中学生の息子にも、やっと数学を教えることができそう・・・

さて、次は、『東大の先生! 文系の私に超わかりやすく高校の数学を教えてください!』を読むとしよう。