パッとしない女子が、ひとかどの男に見初められ、才能を開花させてしまうというシンデレラ・ストーリーです。ボーイ・ミーツ・ガールのありふれたラブストーリーとは違って、せつなさをきっちりと印象付ける重厚な仕…
【本の感想】原田マハ・みづき水脈『ラブコメ』
原田マハ・みづき水脈『ラブコメ』は、米作り体験エッセイです。レポートといっても良いでしょうか。
タイトルからは、ラブコメディだと思っていたのですが、読み始めて直ぐに大きな勘違いと気づきました。裏表紙を読むか、内容をパラパラと確認しなきゃいけませんね。原田マハと漫画家 みづき水脈がご一緒して、自然農による米作りに励んだとのことで、本書の前半は原田マハのエッセイ、後半はみづき水脈のコミックという体裁です。
2011年3月、3.11が発生して間もない頃、原田マハらは山梨県と長野県の県境近く、信濃境にいます。ここから、一年間の活動が開始されるのですが、今もってこのライトな活動が、震災で大わらわな日本の状況にはそぐわないように感じてしまいます。なので、農ガールファッションのあれこれ、を面白おかしく紹介していても、引っかかるものがあるのですよ。この活動が『生きるぼくら』の取材を兼ねた企画ならば、小説の方で感動を得るべきでしょうか。
「八ヶ岳自然生活学校」で自然農を学ぶ著者。①耕さない、②肥料を施さない、③農薬を使わない、の鉄則で、コメ作りにチャレンジします。これはまた、何と労多く実が少ないことか。理念は素晴らしいのですが、お仕事として厳しいのは想像に難くありません。
「種もみ選別」、「もみがら燻炭」、「苗床作り」、「草取り、虫取り」、「畔塗り」、「田植え」、「草刈り」、「案山子作り」、「稲刈り」、「脱穀」と、プロセスを追っていきます。ただ、文章で、こりゃ大変、のような記述を読まされてもピンとこないのが正直なところ。原田マハのポップな語り口が、影響しているのでしょうか。この点では、みずき水脈のマンガの方が、苦労話はよく分かります。
原田マハ、みずき水脈のそれぞれの取り分は13kg。みずき水脈は、参加費用と交通費で計18万5千円かかったそうです。なるほど・・・
結局、原田マハは1シーズンで終了、みずき水脈は継続、とか。なるほど・・・
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