【本の感想】児玉光雄『勉強の技術 すべての努力を成果に変える科学的学習の極意』
この歳になって新しい事を学ぼうとすると、とても大変です。趣味の延長線上でもそこそこ苦労するのに、まっさらな分野だとしばしば思考停止に陥ります。人間学ばなくなったら終わりだわ、と思うものの、それより先に学べなくなってるのでは、と黄昏たりして。そんな時は、テクニックで乗り切ろう!ということで、タイトルがそのまんまの児玉光雄『勉強の技術 すべての努力を成果に変える科学的学習の極意』を手に取りました。
これをものにすれば、自分のみならず、4月に中坊にとなったもののコロナ禍で勉強が立ち遅れた息子にも役立つはず。
本書は、脳科学から経営のフレームワークまで、使えるものは使っちゃおうという論調です。ひとつのテーマ、例えば「ミラー・ニューロンを徹底的に鍛える」、「「SWOT分析」で客観的に観る」について、見開きページ左右に文章と 図で解説がなされます。図解は、にしかわたく のイラストが分かり易くはあります。読み物として楽しいのですが、書いている内容を実践するには、アスリートのようなストイックな精神力が必要でしょう。勉強って技術なんだ!と、理解する共に、全てを技術として習得すると確かに良い事がありそうです。
一読しただけでは身に付かないので、少しづつ実践し、出来る事を増やすのがベストでしょう。ん?「勉強の技術」を勉強していることになってしまうか・・・
自分が注目した箇所を抜き出しておきましょう。
「「負の強化」をじょうずに使う」では、萎えた気持ちを奮い立たせるために実行できなかった理由を、こと細かに記入する習慣を付けるべし、とあります。確かに出来なかった事を書くよりは、実行してしまった方が楽ですね。ただ、こういう習慣が実行できなかった時は・・・
「「帰納法」と「演繹法」を自在に使い分ける」は、論述式のテスト対策です。「帰納法」と「演繹法」を端的に解説しており、理解が進みます。しかしながら、普段から意識して使っていないと、この二つを往々にして取り違えたり、ごっちゃになったりします(自分だけ?)。「帰納法」は新しい事を生み出すのには向いていない、と以前学んびましたが、本書では「要したエネルギーの割に実りの少ないこともあります」と記載されています。
「「メタ認知力」を高める」では、考えることについて考える行為を解説しています。お初にお目にかかったワードですが、客観的に自分を観る力というと分かり易いでしょうか。ここにあるメタ認知的知識もメタ認知的技能もハードルは高めです。自分には甘いのが人の常ですから。
「指組みと腕組みで利き脳を見極める」は、指の組み方と腕の組み方で右脳型人間か、左脳型人間が判別できる、というトリビアな話題です。自分は指組みで親指が右にくるので左脳型(入力と統合のシステム)、腕組みでは左腕が前にくるので右脳型(計画と出力のシステム)です。発見!ですが、果たしてそうなの?と疑問・・・
「過去問題集で8割をものにする」は、パレートの法則を持ち込んで過去問を解くことの効率性を述べています。これは、なるほど。パレートの法則が実際に当てはまっているかどうかは別として。
「「持論系モチベーター」を心の中に育てる」は、勉強している行為そのものに意味を見出す最強のモチベータ「持論系モチベーター」たるべし、との主張です。自分を主人公と感じることによる原動力という位置づけですが、須らくこういうポジティブシンキングな人は、自身で育てることができるのでしょうか。他人から見て うざキャラぐらいまで成長しないとなぁ。
「暗記物は睡眠前学習で記憶する」には、「入力作業は就寝前に、出力作業は早朝に」とあります。ここは実に明快です。入力、出力で時間帯に分けて役割を変えれば良いのですから。これまで逆になっていたような・・・