【本の感想】ウォーレン・キーファー『リンガラ・コード』

ウォーレン・キーファー『リンガラ・コード』

1973年 エドガー賞 長編賞受賞作。

ウォーレン・キーファー(Warren Kiefer『リンガラ・コード』(The Lingala Code)は、1960年初頭の、独立後間もないコンゴを舞台としたエスピオーナージです。

合衆国大使館に勤務するマイク・ヴァーノンは、CIA職員として裏の顔を持ち、情報収集を責務として活動しています。この時のコンゴは、止むことのない国内紛争、そして元宗主国ベルギーの暗躍で、不穏な社会情勢にあります。

そんな中、マイクは、親友のテッド・スターン大佐が、現地人に暗殺されたことを知ります。単なる物取りの犯行なのか。それとも、近頃発生している一連の殺人事件と関わりがあるのか・・・。同衾していた恋人キムの証言は要領を得ず、犯人は逮捕されるものの現地警察の手で葬り去さられてしまいます。

これ以降、マイクが、頻発する動乱の背景を探るうちに、テッド殺人事件とのつながりを見出していくという展開を見せます。タイトルのリンガラ・コードは、マイクと助手が開発した部族語を応用する暗号のことですが、物語を牽引するものではなくて、不可解な真相を象徴しているように受け止めました。

本作品は、枝葉末節に拘っているので、本筋を見失いがち。マイクが大使館においてはCIAの身分を隠しつつ、二重スパイらと情報戦を繰り広げるのは良しです(ここでやっとリンガラ・コードが使われます)。しかし、テッドの不倫関係のごたごたや、マイクと恋人フランソワーズとの痴話げんかなど寄り道があり、なかなか先に進ませてくれません。そのせいか、徐々に明らかとなる真相も、盛り上がりに欠けるのです。

クライマックスは、大使館へのテロ行為発生の最中、ついに黒幕を突き止めるマイクの姿が描かれます。本作品の唯一のアクションシーンですが、冒頭が1971年(つまり約10年後)のマイクの書簡から始まるので無事なのは先刻承知のこと。判明するテッド殺害の犯人については、後ろで大国が糸を引いているにも関わらず、動機がしょぼ過ぎるでしょう。本作品の見るべきポイントは、この当時のコンゴを包む、一触即発のカオスな空気感なのかもしれませんね。

ラストは、書簡の締めくくりとして、ある事実が明らかとなります。これは、ビル・S・バリンジャー『赤毛の妻の男』のオチとさも似たり(リンクをクリックいただくと感想のページに移動します)。ちょっとしたサプライズです。もう一度、本作品を読み返せば、違った趣があるのかもしれません。が・・・そこまでの気合は入らないのだよなぁ・・・

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