【本の感想】七尾与史『死亡フラグが立ちました!』

七尾与史『死亡フラグが立ちました』

七尾与史『死亡フラグが立ちました!』は、都市伝説と化した殺し屋「死神」を追うライター陣内トオルと、天才投資家 本宮昭夫の活躍を描いたミステリ作品です。

「死神」は、死を宣した者を、超絶技巧の先読みで罠を仕掛け確実な死へと誘います。作中で言及されているように、まさに「ファイル・ディスティネーション」の如き逃れられない死を賜る殺人者。陣内と本宮は、「死神」の正体を突き止める事ができるのか。

と、プロットは実にサスペンスフルなのですが、死屍累々にも関わらず、ユルいトーンで、深刻さとは無縁です。スーパーナチュラルの土俵際で、本格ミステリの味わいを残しています。何という力技でしょう。細かい事は気にしないのが吉ですね。

廃刊の危機に瀕しているオカルト雑誌『アーバン・レジェンド』のスタッフ陣内は、伝説の殺し屋「死神」にコンタクトするよう、編集長から無茶な指示が出されます。「死神」の手掛かりがなく、途方に暮れる陣内。そんな陣内に、顔見知りのヤクザ松重から、親分の死亡事故に不信な点があること聞かされて ・・・

全くの事故死にしか見えない監視画像から、陣内の助けを買って出た先輩 本宮は、他殺の事実を突き止めます。本作品の副題「凶器は・・・バナナの皮?!殺人事件」はこの件で、おちゃらけた真相ではあるものの、謎解きとして面白いエピソードです。

本作品は、これと並行して、作家 高円寺麻里の熱烈なファンで不倫の子を宿した南山宇美、17年前に発生した一家惨殺事件を追う定年間際の板橋友和刑事と相棒の御室恵介刑事、女優 黒谷麻美とマネージャ稲垣の美女と野獣コンビ、懸賞マニアの渥美君子とその娘 真由、らのエピソードが挿入されます。メインのストーリーとどうつながっていくか、ここでは皆目見当が付きません。

親分の死の真相を解明した陣内と本宮は、残された一枚のジョーカから、その死が「死神」の仕業であることを突き止め、そして、遂に殺人の依頼方法を探り出すのでした。この時、松重もまた既に死を宣せられていたのです・・・。ここからは、ジェットコースター的な展開となります。編集長が「死神」にコンタクトし依頼したのは、なんと陣内殺害。陣内は否が応でも真相を究明しなければならなくなるという、タイムリミットサスペンスの様相を呈します。陣内と本宮は、松重を、そして陣内自身を救うことができるのでしょうか。

ラストに向けては、ピンチを凌いでは、油断したところで急転直下、絶対絶命へと見せ場の多くなります。複数のエピソードが一つに収斂していく快感も得られるでしょう。読み進めていくうちに「死神」の正体は、ぼんやりと分かってくるのですが、死に誘う超絶技巧の謎は ・・・

期待が膨らむオチは、やっぱり「ファイル・ディスティネーション」!締めくくり方は、実に映画的です。ちなみに、自分は「ファイル・ディスティネーション」シリーズ全て観たのでした。

2019年 小関裕太、塚地武雅 出演 テレビドラマ『死亡フラグが立ちました!』が放映されています。

次はどSなアレを読んでみようかな。