【本の感想】ウィリアム・カッツ『恐怖の誕生パーティ』

ウィリアム・カッツ『恐怖の誕生パーティ』(原著)

1985年 週刊文春ミステリーベスト10 海外部門 第4位。

夫マーティンの誕生パーティーを計画するサマンサ。サマンサは、マーティンの子供時代、学生時代の昔馴染みからコメントをもらってサプライズを仕掛けようとします。しかし、マーティンの過去を手繰っていくうち、彼の経歴が全く偽りであったことに気づきます。実はマーティンは、過去6年にわたり12月5日に殺人を繰り返すカレンダー殺人鬼だったのです。次の犠牲者はサマンサ。今年の12月5日、それは、マーティンの誕生パーティーの日でした ・・・

ウィリアム・カッツ(William Katz)『恐怖の誕生パーティ』(Surprise Party)は、理想の男性と幸福な結婚生活をおくっていた女性が、一転、最愛の夫により死の淵にたたされるというサスペンスです。夫の一部を愛し続けながらも不信感にかられていく様が緊迫感をもって描かれています。サマンサが、過去のないマーティンのことを警察に相談したことから、殺人事件の捜査責任者の目にとまるのですが、ここは多少、都合が良すぎるようにに思えます。

身の危険を感じながら、夫の異常な行動に不快感がつのるサマンサ。サマンサに怪しまれていることに気づきながらも殺害の決行は揺るがないマーティン。表面上は理想の夫婦を演じながら、ついに、運命の日=誕生パーティの日がやってきます。

本作品の早々からマーティンの正体は明らかになっているし、警察も介入してくるので、若干のミスリードはあるのですが、どう展開していくかは予想できます。やはり本書のキモはラストでしょう。やっぱりと感じるか驚きと感じるかで評価が微妙にわかれると思います。

それにしても邦題のホラーっぽい『恐怖の誕生パーティ』はいかがなものかな。原題の『Surprise Party』そのままのほうがしっくりきます。

夫が連続殺人鬼だった!というプロットでは、マーガレット・トレイシー(キース・ピータースン、またはアンドリュー・クラヴァン)『切り裂き魔の森』がハラハラ度が高くオススメです。

(注)読了したのは新潮文庫の翻訳版恐怖の誕生パーティで、書影は原著のものを載せています。