【本の感想】ウィリアム・カッツ『恐怖の誕生パーティ』

ウィリアム・カッツ『恐怖の誕生パーティ』(原著)

1985年 週刊文春ミステリーベスト10 海外部門 第4位。

自分の誕生日を祝ってもらわなくなって、どれくらい経つでしょう。子供らが小さな頃は、ケーキを買って催し物をしていたのですが、今や、おめでとうの一言もなくなってしまいました・・・。じゃあ自分が親に何かしたかというと、記憶には無いので、因果応報とはこのことだと実感しています。まぁ、誕生日がきても、嬉しくはない歳なんですが。

ウィリアム・カッツ(William Katz)『恐怖の誕生パーティ』(Surprise Party)(1984年)は、理想の男性と幸福な結婚生活を送っていた女性が、一転、最愛の夫により死の淵に立たされるというサスペンスです。

夫マーティンの誕生パーティーを計画しているサマンサ。サマンサは、マーティンの子供時代、学生時代の昔馴染みからコメントを貰って、サプライズを仕掛けよう企んでいます。ところが、マーティンの過去を手繰っていくと、彼の経歴が全く偽りであったことに気付きます。実はマーティンは、過去6年に渡り、12月5日に殺人を繰り返すカレンダー殺人鬼だったのです。次の犠牲者はサマンサ。今年の12月5日、それは、マーティンの誕生パーティーの日でした・・・。サプライズを目論んで自身がサプライズしてしまう、というぐっとくる出だしです。

本作品は、夫の一部を愛し続けながらも不信感に駆られていく様が、緊迫感をもって描かれています。サマンサが、過去のないマーティンのことを警察に相談したことから、殺人事件の捜査責任者の目にとまるのですが、ここは都合が良すぎでしょう。

身の危険を感じながら、夫の異常な行動に不快感が募るサマンサ。サマンサに怪しまれていることに気付きながらも、殺害の決行は揺るがないマーティン。表面上は理想の夫婦を演じながら、ついに、運命の誕生パーティの日がやってきます。

本作品の早々から、マーティンの正体は明らかになっているし、警察も介入してくるので、若干のミスリードはあるのですが、どう展開していくかは予想ができます。やはり本作品のキモは、ラストでしょう。やっぱりと感じるか、驚きと感じるかで、評価が微妙に分かれると思います。

それにしても、ホラーっぽい邦題『恐怖の誕生パーティ』は、如何なものかなぁ。原題の『Surprise Party』そのままのほうが、しっくりきます。

夫が連続殺人鬼だった!というプロットでは、マーガレット・トレイシー(キース・ピータースン、またはアンドリュー・クラヴァン)『切り裂き魔の森』がハラハラ度が高くてオススメです。

(注)読了したのは新潮文庫の翻訳版恐怖の誕生パーティで、書影は原著のものを載せています。