【本の感想】橘玲『亜玖夢博士の経済学入門』

本の感想 橘玲『亜玖夢博士の経済学入門』

橘玲『亜玖夢博士の経済学入門』は、経済学で使われる用語を物語形式で解説するものです。物語といっても、小難しいさとか堅苦しさとは無縁で、卑近(下世話)な話を取りあげています。用語の意味合いが理解しやすく、しばらくしたら忘却の彼方へ、とはなり難いように思います。

歌舞伎町の怪しげなビルで無料相談所を営む亜玖夢博士。150cmの小男で、体長の4分の一が頭部、さらに半分が額という怪異な容貌の持ち主が、本書の指南役です。

本書は短編形式で、亜玖夢博士が人生どん底の相談者に啓示を与え、助手の美しいファンファン、リンレイ姉弟が彼らをサポートするという展開です。しかし、勘違い気味の過激な解決策が相談者を翻弄し・・・ という、フォーマットになっています。「どん底→相談→一転、絶好調→しかし・・・」は、藤子不二雄A『笑ゥせぇるすまん』を思い起こさせますか。(人かな?魔物かな?な登場人物もしかり)

取り上げている経済学のテーマは、「行動経済学」、「囚人のジレンマ」、「ネットワーク経済学」、「社会心理学」、「ゲーデルの不完全定理」の5つです。これが、経済学の入門と言えるかは疑問ですが、経済学の様々な書籍に頻出する用語なので、理解を深めても損はありません。

「行動経済学」の章では借金返済のノウハウを、「囚人のジレンマ」の章ではヤクザの抗争を、「ネットワーク経済学」の章では小学生のいじめを、「社会心理学」の章ではマルチ商法を、「ゲーデルの不完全性定理」の章では自己破産を取りあげています。極めてブラックな内容ではあるものの、そのなんたるかを教えてくれるのです(これは「行動経済学」なの?は残りますが)。

著者の意図が、インパクトの強さでしっかりと用語の意味を叩き込む、にあるのならば成功していると言えるでしょう。忘れそうになったら本書のストーリーを思い出せばいいのです。ただ、ブラック過ぎて、良い子にはおススメできないのですがね。

無料相談。地獄を見たら亜玖夢へ

ふむふむ、この各章の締めも藤子不二雄Aっぽいな。