【本の感想】舞城王太郎『阿修羅ガール』

舞城王太郎『阿修羅ガール』

2003年 第16回 三島由紀夫賞受賞作。

舞城王太郎『阿修羅ガール』は、 いち女子高生の迷走する脳内活動が、爆裂するがごとくに拡がりを見せる作品です。

分かり易くあらすじを書くのはちょいと難しいので、ご容赦を。

主人公アイコは、同級生の佐野と図らずも関係を持ってしまったことで、後悔の日々を送っています。

減るもんじゃねーだろとか言われたのでとりあえずやってみたらちゃんと減った。
私の自尊心。
返せ。

冒頭のこのセリフで、ぐぐっと惹き込まれてしまいました。

アイコは、金田陽治のことが好きだったのです。

突如として佐野が行方不明になったことから、佐野と関係した女らに拉致られるアイコ。すかさず逆襲に転じます。何ともキュートなアイコの思考活動が、饒舌文体で縷々つづられていきます。

折しも、街は、謎の殺人鬼 グルグル魔人が跋扈し、子供らが暴れまくる<調布アルマゲドン>が勃発中。

アイコの世界は、崩壊へ向かいます。

ピンチのアイコに、どーん!金田登場で、恋心爆裂です。しかし ・・・

アイコの想いは、壊れた世界に絡め取られ魂は彷徨します。

本作品は、ストーリーを語ることすら無意味です(上手く書けないだけなのですが)。いきなり本筋とは無関係の、ファンタジックな挿話がぶち込まれたりします。破綻寸前でぐっと踏み止まるのが舞城流でしょう。

本作品から何かを汲み取ろうとしても、上手くいきません。主人公と多くの同年代のコは、物事の捉え方に秩序なんて無いのかもしれませんね。

自分の狭い世界観の中で試行(思考)錯誤して、なんとなく結論じみたことを見いだしていく。この年頃の、そういう多感さが巧く表現された作品だと思います(考えすぎかな)。

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